「ウサギ300匹で多頭飼育崩壊」「狭くて頑丈な檻に動物たちが…」 廃園寸前の"三重の動物園"を救った園長の"執念"

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「ゾウは特に関係性を築くのが難しい動物。気を抜いてかかって踏みつぶされそうになったことも。命の危険を感じ、動物には誠心誠意向き合わないといけないと意識をたたき直されました」

ごかつら池どうぶつパーク
インドでの修業時代(写真:ごかつら池どうぶつパーク)

帰国後はインドゾウのほか、ライオンなどの飼育担当を歴任。30代半ばで管理職を任されるようになったころ、ズーラシアとJICA海外協力隊の共同プロジェクトでウガンダ動物園から来たスタッフの受け入れを担当。野生動物保護への関心が高まり、15年勤めたズーラシアを退職してJICA派遣員として1年間ウガンダで保護動物の飼育管理を行った。

多頭飼育崩壊の現場を見て「かかわってはいけない」と思うが…

「象牙の密猟者に家族を殺された赤ちゃんゾウの飼育管理を任されて。人間の身勝手な行為で野生動物が被害を受ける例を目の当たりにしました」

ごかつら池どうぶつパーク
ウガンダで野生の赤ちゃんゾウの飼育を担当(写真:ごかつら池どうぶつパーク提供)

その後、地球環境に視野を広げ、脱炭素の施策を推進する一般社団法人に勤務していた2022年末に転機が訪れた。左官職人で建築会社の社長をしていた父が急逝したことで、会社を継承するかどうか選択を迫られたのだ。

「自分が本当にやりたいことは何か見つめ直し、やはり動物にかかわることがしたいと。仕事を辞めて父の会社を事業転換して引き継ぎ、ウェバレッジという社名で動物園などのアドバイザリー業務を始めることにしました」

そして2023年5月、改修工事に携わっていた友人に「リニューアルを進めているごかつら池どうぶつパークを一度見に来てくれないか」と誘われる。髙橋さんが現地を訪れて目にしたのは、信じられない光景だった。

「狭くて頑丈な檻に動物たちを入れて、自由度の低い環境で飼育するという昭和のやり方がいまだに残っていて驚きました。さらに無制限にえさやりができる手法で集客をしていたため、ウサギが繁殖しすぎて300匹に達していた。いわゆる多頭飼育崩壊です。健康管理が及ばないなんて本来動物園であってはいけないこと。とても胸が痛みましたし、『ここにはかかわってはいけない』と思ったほどです」

ごかつら池どうぶつパーク
リニューアル前の老朽化した獣舎(写真:ごかつら池どうぶつパーク)

それでもできることをしたいとアドバイザー役を買って出るうち、園を再生させたいという町職員やスタッフの熱意に共鳴し、2024年2月から髙橋さんの会社で管理運営を担い、園長も務めることに。リニューアルオープンへ向けて走り出していった。

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