特に近年、現場の大きな負担となっているのが不登校生徒への対応だ。
以前、高田さんが担任したクラスでは4人が不登校で、これは現在の学校現場では決して珍しい数字ではなくなっている。不登校の子は、小中学校あわせて35万3970人(2024年度)と12年連続で過去最多を更新しているからだ。
「不登校の生徒にも教材やおたよりをタイムリーに届けようと思うと、週に一度は家庭訪問を行うことになり、それが4人分だと週4日です。また、不登校生徒に登校してもらう場合は、ほかの生徒と顔を合わせるのが苦手な子も多いため、どうしても放課後の勤務時間外に面談を設定することになります」

さらに、付随する事務作業の量も膨大だ。「不登校の生徒の月報作成、フリースクールや適応指導教室との情報共有、そして市教委へ提出する書類……。学校に来ている生徒の4~5倍の労力がかかります」という言葉に、大量の書類に追われる教員の姿が浮かび上がる。
教員が「トイレのドアの修理」まで担う異常事態
現場をさらに追い詰めているのが、深刻な人手不足と管理体制の不備だ。高田さんの勤務校でも同僚教員や管理職が体調不良から休職に入り、復職プログラムを受けながら働く教員もいる。欠員が出ても代替教員の派遣はなく、現場はその穴埋めでさらに疲弊していく。
高田さん自身も約10年前、職場の人間関係や過重労働が原因で「適応障害」を患い、休職した経験がある。
「当時は人格を否定されるような扱いを受け、裁判まで考えました。なんとか復職できましたが、今の日本の教育現場は、いつ誰が倒れてもおかしくない、まさに崩壊状態にあります」
そんな中、教員には「教育」の本来の目的とは程遠い業務が次々と押し付けられている。驚くべきことに、高田さんの業務は学校施設の修繕作業にまで及んでいるという。
「トイレのドアの故障や雨漏りも私たちが直しますし、ペンキの塗り替えだってやります。電気の配線工事など免許が必要なもの以外、業者を呼ぶお金を惜しんで、私たちの労働力で解決しようとする。教員はなめられているなと感じます」
中でも、高田さんが「理不尽だ」と強く憤るのが、最近導入された「隠しカメラの点検業務」だ。
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【検証なき「ビルド・アンド・ビルド」の果てに】
