46歳で海外移住→69歳で"イギリス人夫"と死別 それでも日本には帰らず… 73歳女性《ヨーロッパひとり暮らし》のリアル

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夫の書斎
夫の書斎。愛用のはんてんや車椅子がそのまま残されている(写真:筆者撮影)

夫を見送った家で、広子さんはいまもひとりで暮らし続けている。

夫が亡くなり、暮らしはさらにシンプルになった。春には裏の竹林からタケノコを掘り、夏にはミョウガを収穫する。たまに友人を家に招いて日本料理を振る舞うのが、ささやかな楽しみだ。嵐の日には木が倒れないかと、友人が電話をくれる。ひとりだが、孤立はしていない。

キッチン
山あいの一軒家のキッチン。窓の向こうには緑が広がる(写真:筆者撮影)

「私はやっぱり異端児なんだな」

日本に帰ろうとは思わないのか、尋ねてみた。

「今はこの子たち(犬猫)もいるし、考えてないですね」

広子さんには日本に2人の姉がいる。姪も甥も実家の近くに住んでいる。

「出てきた時は、自分がそんなに異端児だとは思わなかった。でも、長く離れて暮らしてみると、私はやっぱり異端児なんだな、って日本に戻ると感じます」

広子さん
犬たちと一緒に台所に立つ広子さん(写真:筆者撮影)

ただ、不安がないわけではない。同年代の友人が大きな病気で倒れたとき、それまで自立していたその人が娘に頼る姿を目の当たりにした。

「あと10年は頑張れると思う。でもそのあとは……って、考えることはあります」

それでも、窓を開ければ山と空が広がるこの家を離れる気にはなれないという。

「ここにいる方が、圧倒的に楽なの」

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