46歳で海外移住→69歳で"イギリス人夫"と死別 それでも日本には帰らず… 73歳女性《ヨーロッパひとり暮らし》のリアル

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山の中
広子さんの家へと続く道。県道からは見えない山の中にある(写真:筆者撮影)
広子さんが暮らす山あいの素敵な豪邸。この家に水道が通ったのは2016年。それまでの17年間は雨水を使い、料理用の水は湧き水を汲みに行っていた(写真:筆者撮影)

壊れかけて、それでも続いた関係

広子さんがスペインに渡ったのは1999年。46歳の頃だ。

夫はその3年前にスペインへ渡っていた。友人を頼りに生活の基盤を築いていたが、3年に及ぶ遠距離の日々は、ふたりの生活リズムを別のものにするには十分だった。

広子さん
スペイン移住後のふたり。広子さん54歳、夫スチュワートさん61歳の頃(写真:ハートレー広子さん提供)

イギリスでは博士課程を修め、日本でも大学教授として敬われた夫は、この土地ではただの「外国人」になった。ブリティッシュスーツを着ても、誰も振り返らない。博士号をぶら下げて歩くわけにもいかない。築いてきたものが一切通用しない。その苛立ちは暴言となって、すべて広子さんに向かった。

広子さんにも逃げ場はなかった。スペイン語は「ブエノスディアス(おはよう)」くらいしかわからない。気持ちを打ち明けられる相手もいなかった。更年期も重なっていた。

「毎日ね、なんで私ここにいるんだろう、何やってんだろうって考えていました。あの人は1人で生活できるし、私が死んだとしても、悲しいよって半年くらいは泣くかもしれないけど、適当に新しい相手も見つかるでしょ。なんで生きてるんだろうって」

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