【医師が注意喚起】麻疹が感染拡大「妊活前にワクチン」の切実な理由…発症者が去っても感染力は持続、新生児は高リスク
麻疹の潜伏期間は10~14日と比較的長い。発症初期には高熱や倦怠感に加え、咳・鼻汁・結膜炎が出現し、口腔内にはコプリック斑と呼ばれる白色斑が見られる。
そのあといったん解熱傾向を示すものの再び発熱し、赤く盛り上がった発疹が顔から体幹、さらに手足へと拡大するという二峰性の経過をたどる。
ただ、ワクチン接種が1回しかないなどで免疫が不十分な場合は、症状が軽くて、典型的な症状と異なる「修飾麻疹」となることもある。症状が軽いからと医療機関を受診せず放置すれば、この場合でも感染性は保たれているため、まわりに感染を広げていく。
麻疹は決して軽症の感染症ではない。全症例の約30%で何らかの合併症を伴い、肺炎や脳炎など、重篤な経過をたどることがある。先進国においても致死的となりうる疾患で、そのリスクを過小評価してはいけない。
麻疹の重篤な後遺症が、数年の潜伏期間を経て発症する「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」である。
これは、麻疹ウイルスが中枢神経系に持続感染することで生じる進行性の疾患で、知能低下や性格変化といった症状から始まり、やがてけいれんや運動障害を起こし、最終的には死に至る。
発症頻度は消して高くないものの、いったん発症すれば極めて予後不良であり、麻疹の長期的リスクを象徴する病態である。
ヒトに備わった免疫を壊す
加えて、近年注目されているのが「免疫アムネジア」である。麻疹ウイルスは、記憶B細胞などの免疫記憶を担う細胞を傷つけたり、殺したりすることが知られている。
その結果、これまでに獲得していたほかの病原体に対する免疫が失われ、回復後も一定期間、細菌やウイルス感染症に罹患しやすくなることが報告されている。
これは麻疹が単なる感染症にとどまらず、宿主(人間)の免疫システムに長期的影響を及ぼす疾患であることを示している。
何より麻疹が厄介なのは、その極めて高い感染力にある。
麻疹は人類が経験する感染症の中でも最も感染力の強い疾患の1つであり、咳やくしゃみによる飛沫感染に加え、空気中を漂う微粒子による空気感染を特徴とする。



















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