「破壊的なかわいさ」「いとおしすぎる」と話題の《小ザル・パンチくん》 爆発的人気を生んだ"敏腕課長の半生"

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入園料は大人440円、小人110円。市川市動植物園の赤字が問題視されることもあるが、教育施設なのだから収益至上主義というわけにもいかない。それは、税金で運営されている図書館と変わらない。

そのうえで、安永さんが感じた課題は「市川市動植物園の魅力が伝わっていないこと」だった。

スマトラオランウータン
スマトラオランウータン(写真:筆者撮影)

日本に7頭しかいない希少なスマトラオランウータンのうち4頭が園にいることや、「流しカワウソ」「ヤギの空中散歩」といった行動展示を増やしてより野生に近い動物の動きを見られるようになったことなど、見どころが市民に十分に伝わっていなかった。そう、図書館とまったく同じ状況にあったのだ。

それならやることはひとつ。「園に来てもらうためのきっかけ作り」だ。

最初に取り掛かったのは、ボリビアリスザル、エリマキキツネザル、マンドリルの遊び場「おさるーむ」を新設するためのクラウドファンディング。これは異動前に決まっていたが、4月の時点でほぼ手付かずだった。

ボリビアリスザル
ボリビアリスザル(写真:筆者撮影)

クラウドファンディングは、寄付集めと同時に園のPRもでき、まさに「きっかけ作り」になる。安永さんは陣頭指揮を執り、募金箱の作成と設置、メディア露出、民間のインフルエンサーへの協力要請、商店街の協力店へのポスター張りを同時並行で進めた。寄付を呼び掛けるチラシは業務時間終了後、動植物園のスタッフとともに配った。

「夜、通勤帰りの人たちを目がけて、駅前でチラシを配りました。飼育員や事務のスタッフも一緒だったので、自分が体を張らないと誰もついてきてくれませんよ」

総動員をかけた甲斐あって、663人から1043万4287円の支援を得て、最終日の前日に目標達成。この資金を投じた「おさるーむ」は、今年3月20日に完成披露を迎えた。

市川グルメを園内に

園内の魅力を高めるためにグルメも充実させた。安永さんの異動前まで、園内に出店するキッチンカーの登録が7台程度で、しかも都内の業者がほとんど。個人のSNSで「市川市の美味しいもの」を続けていた安永さんからしたら、「もったいない!」の一言だ。

知り合いの事業者に呼びかけたところ、30以上のキッチンカー、10店以上の露店が登録した。以後、1日当たり最大6台のキッチンカーと3つの露店が営業できるように制度を変え、地元グルメを楽しめるようにした。現在はパンチくんフィーバーで大繁盛しており、新規出店の問い合わせも多数寄せられているという。

安永さんの十八番、イベントも拡充。夏場には夕方の時間帯の動物園を開放する「トワイライトズー」が好評を博し、鷹匠によるタカのフライト実演、フワフワトランポリンの日、ホタル観賞会やもみじ観賞会なども開いてきた。

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