「破壊的なかわいさ」「いとおしすぎる」と話題の《小ザル・パンチくん》 爆発的人気を生んだ"敏腕課長の半生"

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2021年4月からは、市川市内にあるすべての図書館を統べる市川市中央図書館長に就任した。

「私は読書家ではないので、正直に言うとほとんど図書館を利用したこともなかったんです。なぜ自分が? と思いましたよ(笑)。でも、だからこそ利用者目線で、図書館でもっとこういうことができたらいいとか、やってみたいというアイデアが湧きました」

図書館長に就任した際、右も左もわからなかった安永さんは、図書館司書など現場の専門家に話を聞くところから始めた。その際、市川市の図書館には蔵書が100万冊以上あり、経験豊富で優秀な図書館司書が大勢いると知った。

それを聞いて感じたのは、「もったいない!」。安永さん自身がユーザーじゃなかったからこそ、すぐに課題が見えた。「図書館の魅力が市民に伝わっていないこと」だ。

静かな図書館を賑やかに

安永さん
図書館長時代の安永さん(写真:安永さん提供)

この課題に対する安永さんのアプローチは「図書館に来てもらうためのきっかけ作り」。安永さんが思い浮かべたのは、マルシェのようなイベントをやりたくても場所代の予算が足りなかったり、適当な場所がなかったりといった悩みを抱える地元の農家や商店街の店主たちだった。

本と絡めたイベントにして図書館のスペースを提供すれば、読書に興味が薄い人も足を運んでくれるのでは? 図書館に馴染みのなかった住民が「こんなにいい場所があったんだ」と知ったり、図書館を通して住民同士が交流し、顔見知りが増えれば、シビックプライドの育成にもつながる。

「それで始めたのが、『市民提案型図書館推し活企画』です。図書館のなかで古本市をやったり、地元の作家さんを呼んでトークショー、子ども向けのボードゲームのイベントなどいろいろなことをやりました」

ほかにも古い本の「虫干し」を体験する会、脳トレの会、市川市内に店を構える店主が薦める本を紹介する「店主の本棚」など幅広いイベントを開催。図書館自体の魅力を高めるために、予算を増やして蔵書も充実させた。

前例にないことをすれば、摩擦が起きることは経験済み。そこで安永さんは図書館長に就任してから自費で図書館司書の資格を取得した。自分が打ち出す方向性に説得力を持たせるためだ。これは、ベテランの図書館司書たちとの距離を縮める効果もあった。

こういった取り組みの成果は、顕著に表れた。安永さんが図書館長を務めた2021年から2023年まで、3年間の数字を見てみよう。

市川市が公表している図書館の「延べ利用者数」の推移によると、コロナ前の2019年は70万6891人で、コロナが直撃した2020年は51万6416人。安永さんが図書館長に就いた2021年は77万8249人、翌年は79万7046人、最終年度の2023年は80万1620人。3年間で、コロナ前から約10万人も増やした。

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