野元店長は、「のし上がってやろうという野望もあったようです」とも付け足した。当初は手打ちそばが中心で、今よりもずいぶんメニューも少なかったが、少しずつ事業規模は拡大。野尻店の店舗もだんだん大きくなり、現会長の2代目が承継した後は店舗数も増えていった。
市街地の中心部というより、街から少し距離のある場所に立地したことが功を奏したのか、どの店舗も開業以来閉店することなく営業を続けている。しかし、ただの“素朴な山奥のうどん・そば店”というわけではない。実は、以前から策略的なイメージ戦略にも力を入れていた。
「各店舗に水車を設置し、建物は古民家を思わせる造りとなっています。特に一号店の当店は、創業当初の建物をそのまま活かして少しずつ建て増ししていて、茅葺きも当時のままです。また、BGMとして、民謡や童謡を店内や駐車場で流しており、いずれも『山椒茶屋といえば……』というイメージを持ってもらうために以前からやっていることです」
これらの視覚や聴覚、空間に訴えた一貫性のあるイメージ戦略は、日本の原風景のような懐かしさを感じさせると同時に、訪れるひとが「山椒茶屋に来た」という実感を得られるものとなっている。実際、「山椒茶屋といえば水車」などと認識している県民は少なくないはずだ。
“無料サラダバー”の裏側
そして、現在の山椒茶屋を強くイメージ付けているもうひとつの要素が、10年ほど前から始めた無料のサラダバーである。そのきっかけとなったのは、『健康野菜畑』という自社農場の立ち上げだった。
「農場で試験的に作った野菜をどこかで活かせないかと考え、各店舗にサラダバーを設置することにしました。というのも、うどんで知られる香川県では、炭水化物の摂りすぎによる糖尿病の患者が多いと聞き、食事の前に野菜を食べることで血糖値の上昇が緩やかになることから、糖尿病の予防につながるのではないかと考えたからなんです。
そこで、『お客さまの健康にお役立ち』をモットーにして、うどん・そばを食べる前に野菜を摂ってもらおうと考えたのが経緯です。現在は季節に応じて、自社栽培と仕入れの両方の野菜を使い分けています」



















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