スマホはなぜここまで高くなったのか、AI向け半導体争奪と円安が招いた値上げの構造と賢い買い方

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とはいえ、キャリア側もこのまま高止まりを受け入れるわけではない。あの手この手でユーザーにとって「買いやすい」価格設定を模索していくだろう。ただしその割引や優遇策が特定の人気モデルや一部の高価格帯に偏ってしまえば、日本のスマートフォン市場は依然としてゆがんだ構造のままとなり、複雑な契約プログラムを理解しない限り端末をお得に買えないという状況に逆戻りしかねない。ユーザー側にもメーカー側にも、一部の層だけが過度に得をすることのない、公平で分かりやすいルールづくりを総務省には今後も強く求めたいところだ。

「高くなるスマホ」時代の賢い買い方

ここまで読むと、暗い話ばかりに思えるかもしれない。特にキャリアでの割引販売の相次ぐ縮小はスマートフォンを以前よりも買いにくいものにしている。だがそれは、日本のキャリアが端末代を通信料金で回収する「実質0円」「1円ケータイ」といった販売手法を長年続けてきた結果でもある。iモード全盛期から続いた、通信と端末を一体で売る日本独特のビジネスモデルが、スマホの本来の価格感を見えにくくしてきたのだ。

消費者にとってスマートフォンを安く買う一番わかりやすい方法は、キャリアの端末購入プログラムを利用することだ。2年後の返却を前提に残価を据え置き、月々の負担を抑えるこの仕組みは、キャリア販売が主体の日本ならではの買い方と言える。

現在は大手3社が「2年後に同じキャリアで次の端末を買わず、返却だけする」場合などに最大2万2000円の追加コストが発生するルールを設けているが、キャリア側から大きな割引や残価免除の恩恵を受ける以上、「同じキャリアで継続してもらうこと」が事実上の条件になるのはある程度やむを得ない面もある。

一方では、楽天モバイルが楽天カードでの24回払いの分割手数料をゼロにするなど、スマートフォンを購入しやすいプログラムの提供も行っている。キャリアが特定のクレジットカード会社と組み、分割手数料を低減するサービスも今後増やしてほしいところだ。

アップルストアでも指定カードの金利0%キャンペーンや、後から分割払いを提供している。スマートフォンの単体価格が値上がりし、キャリアの割引も受けにくくなってきた今、スマートフォンの買い方は従来のように「とにかく安ければいい」ではなく「自分が支払いやすい方法を考える」との意識の変革が必要だ。

消費者視線で買いやすいプログラムを提供するアップル
消費者視線で買いやすいプログラムを提供するアップル(筆者撮影)

2026年のスマートフォン選びは、値段だけを見て嘆くのではなく、どのブランド・どの購入プログラム・どの回線を組み合わせれば、自分の財布にとって無理のない形になるのかを考えることが大切だ。いずれ近い将来には、こうした条件をもとに自分に合った1台と最適な買い方をAIサービスが提示してくれるようにもなるだろう。「総額」「月額」「乗り換えやすさ」など、スマートフォンを選ぶための判断基準は、これから大きく変わっていくはずだ。

山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

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やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

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