スマホはなぜここまで高くなったのか、AI向け半導体争奪と円安が招いた値上げの構造と賢い買い方

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ここでやっかいなのは、スマートフォン側のメモリ需要も以前にも増して高まっている点だ。AIエージェント機能や、端末単体で動くAI機能の搭載が進んだことで、スマートフォンが必要とするメモリ容量も増加している。

従来であれば、部材価格が高騰した際には搭載メモリを減らすことでコストを抑える、といった調整も可能だったが、AI時代のスマートフォンではそう簡単にメモリ容量を削ることができない。このように搭載メモリ量の底上げが進んだ結果、需要が供給を上回り、メモリ価格の上昇圧力を一段と強めているのである。

半導体メーカーが設備投資を拡大すれば、いずれメモリ価格の高騰はいくらか落ち着くだろう。しかし、始まったばかりのAIブームは今後も新たなアプリケーションを生み出し続けると見られ、しばらくは勢いが衰える気配がない。そのため、スマートフォン向けメモリ価格は当面、高止まりあるいはさらなる上昇リスクを抱えた状態が続く可能性がある。

円安がスマホ値上げに拍車をかける

世界全体でスマホの原価が上がっているが、日本の場合はもうひとつ大きな要因がある。それが円安だ。円安によって日本の輸出企業は大きな恩恵を受ける一方で、海外からの輸入品は為替の影響を強く受ける。スマートフォンもサムスン電子に限らず、アップルや中国メーカーなど海外メーカーの製品が中心であり、その分、日本での販売価格は為替動向に左右されやすくなる。

これはスマートフォンの多くがドル建て、あるいは他通貨建てで価格設定され、そのうえで日本円に換算して販売価格が決まるからだ。円の価値が相対的に下がれば、同じドル価格でも日本円で見た端末価格は高くなる。ここ数年の為替推移を振り返ると、1ドル100円台前半だった時期と比べて、ざっくり2から3割増しで仕入れているのと同じ感覚になっていると言ってよいだろう。

Galaxy S25 UltraとGalaxy S26 Ultraのアメリカでの販売価格を比較してみると、実はストレージ256GBモデルは変わっていない。512GBモデルは80ドル(約1万2800円)、1TBモデルは140ドル(約2万2300円)の値上がりだ。日本ではそれぞれ2万8600円、4万5400円であり、消費税分を抜いてもアメリカでの値上がり幅より大きい。

もちろんスマートフォンの価格はメーカー側の販売戦略により利益率を変えて設定されるが、日米の価格を単純に比較しても、日本の価格が高いのは円安の影響があると見ることができるだろう。

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