スマホはなぜここまで高くなったのか、AI向け半導体争奪と円安が招いた値上げの構造と賢い買い方
スマートフォンは本体全体の動作を制御するチップセット、処理を実行するメモリ、データを保存するストレージなど、数多くの半導体部品によって構成されている。このうち価格の急騰が指摘されているのがメモリだ。その影響は原価構成に占めるメモリ比率が高い低価格モデルほど大きく、高性能なハイエンドモデルは他の部材とのバランスである程度は吸収できているものの、もはや吸収しきれない段階に来ている。
Galaxy S26 Ultraの値上げも、サムスン電子が「AI機能を強化した最新フラッグシップだから」と単純に強気な価格設定をしたのではなく、メモリをはじめとする部材コストの上昇分を一定程度は販売価格に転嫁せざるを得なかった結果と見る方が自然だ。
AI処理性能の向上やカメラ機能の強化など、スペック面での上乗せ要素があるのは事実だが、それらを差し引いても、部品価格の上昇がここまでの値上げを招いた主要因になっていると考えられる。
AIデータセンターが奪う、スマホ向けメモリ
そもそも、なぜここに来て半導体不足が騒がれるようになったのだろうか。その主因は、スマートフォンなどの個人向け製品ではなく、近年急拡大しているAI産業にある。
ChatGPTのような文章や画像を自動生成するAIサービスは、「ものすごく大きなソフトを丸ごと動かしている」イメージに近い。そのソフトの中身だけではなく、今読んでいる文章や画像、途中計算のメモなど、やり取りに必要なデータを一時的にたくさん抱え込むため、大容量のメモリが欠かせない。
たとえば、人間が分厚い資料を読みながらメモを取り、あちこちページを行き来して作業する場面を考えてみてほしい。机が狭いと資料をいちいち片付けたり取り出したりしなければならず、作業が極端に遅くなる。AIにとってのメモリは、この「作業机」にあたる。まとめて多くの文章や画像を読み込み、一度に処理しようとすると、そのぶん机の広さ=メモリ容量が必要になる。
最近の生成AIでは、一度に長い文章や大量の画像を処理することが当たり前になっており、その結果、1つのAIサービスだけでパソコン用メモリとは比べ物にならないほどの容量を使うケースも珍しくないのだ。
またラフスケッチや文字による指示から画像や動画を生成するAIも同様で、高解像度の画像や動画を扱う場合、推論だけでも数十ギガバイト規模のメモリが求められる。クラウド事業者や大手IT企業は、こうした生成AIを動かすためにデータセンターを次々に新設・増設しており、そのたびに大容量の高性能メモリや最先端のチップが大量に必要になる。
その結果、半導体メーカーは限られた生産能力の中で、利幅の大きいAI・サーバー向け製品にメモリの生産を優先的に振り分けざるを得ない。そのあおりでスマートフォン向けメモリの供給余力は削られ、価格の引き上げが起きている。



















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