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キャリア・教育 #還暦バックパッカー教授の世界見聞録

「現役のビジネスパーソンこそ旅をしよう!」令和のバックパッカー旅は最高の自己投資だ――キャリアを広げる旅の力

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「現役のビジネスパーソンこそ旅へ」——身軽に海外へ旅立っている筆者(写真:筆者提供)
  • 河瀬 誠 立命館大学ビジネススクール教授、MK&Associates代表
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バックパッカー旅とは、まさにこのプロセスを経験する旅である。まずは慣れ親しんだ世界から一歩出て、不確実な世界を経験する(ステップ1)。そこでは、言葉が通じないとか、文化が理解できないといった「自己の無力さ」に直面せざるを得ない(ステップ2)。

そしてバックパッカーは孤独である。観光中でも食事中でも部屋にいるときでも、一人だ。旅先でもSNSには繋がれるとはいえ、海外だと日本語を話す機会はほとんどない。

その代わりに旅先では、会社内や家庭内の役割を外れ、日々の新しい刺激に対して自分はどう感じたか、どう状況に対処して判断し行動したかを振り返る時間はたっぷりある。この孤独が自己対話、つまり「内省」を促す大きな機会になるのだ(ステップ3)。

旅から戻ったあなたは、以前とは少し違う目で職場や社会を見ているはずだ。これは内省を通じて、自分自身の世界観や優先順位が変わり「新しい自分」として日常に戻っている証拠でもあるのだ(ステップ4)。

バックパッカーの旅とは、このように「人が変容し成長する」ための大きな機会となる旅なのだ。旅から戻ったあなたは、以前より少し成長しているはずだ。

実はかくいう私も、バックパッカー旅を通じて成長した一人である。

旅する前の私は、「日本の常識」にしっかりと縛られていた。進学校に進んで、いい大学を出て、安定した会社に入るのが目指すべき人生なのと、特に考えることなく思っていた。そして、そうしたコースから外れることは、社会的な死を意味するのだと思い込んでいた。今思うと、随分と視野の狭い若者だったと思う。

そして正直なところ、海外に出ることが怖かった。受験勉強はしたものの、英語はほとんど話せなかったし、外国人と友達になることなど想像さえできなかった。

しかし、好奇心に勝てずに、恐る恐るバックパッカー旅を始めてみると、いきなり世界が広がった。世界のさまざまな文化や生活を垣間見るうちに、それまで強固に持っていた常識も外れていった。“世界にはいろいろな生き方がある”、そして“何をしても生きていける”と信じられるようになり、チャレンジすることがそんなに怖くなくなった。

今の私が経営コンサルタントとしてさまざまな企業にアドバイスをし、また大学で教員をする中で、マネジメントやリーダーシップを自分の言葉で語れるのは、仕事とともに「旅」を通じて学んだことが多いからこそなのだ。

 忙しいビジネスパーソンこそ、旅をしよう

私はあえて、現役のビジネスパーソンにこそ、バックパッカー旅をしてほしいと思っている。

もちろん引退後の旅行を楽しみにしている方も多いだろう。しかし現役のほうが、旅で得た知見や成長を仕事や社会の中でもっと活かせるはずだ。そしてこの「現役」には、還暦を過ぎても仕事を続ける、私のようなシニア世代も入っている。

「忙しいから旅なんて無理だ」と思う方も多いかもしれない。しかし、たとえば出張が決まっていたら、プラス1日年休を取って旅行する。半日フリーにして自由行動を入れてもいいだろう。アジアの国なら、週末もしくは3連休で気軽に旅することができる。その気になれば、時間は取れるものなのだ。

「休むと同僚に迷惑がかかる」と心配する方もいるかもしれない。実は私も頻繁に旅をする前は、こうした心配を随分としていた。しかし思い切って旅に出てしまうと、同僚は私がいなくても普通に仕事をしていた。もしかしたら陰で嫌味を言われていたかもしれないが、そんなことはどうでもよくなるほど、旅は楽しかった。

人生を振り返ったときに最も多い後悔の一つが「仕事ばかりせずに、もっと旅をすればよかった」ということだそうだ。あなたにそうした後悔はしてほしくない。思い立ったらぜひ、あなたも旅仲間として、一緒に旅を楽しんでほしい。

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【安全第一に最初の一歩を&今回の一冊】

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