勤続15年でも…50歳男性が遭った"派遣切り"の闇――粉々になった「会社から必要とされている」自負と最終出社日の孤立

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キヨアキさんは「今回の派遣切りで懲りたので、正規の公務員の仕事を探しています。定年まで安心して働きたいんです。でも、50歳を過ぎてからの再就職活動がこんなに大変だとは思いませんでした」と途方に暮れる。

「安い食品を探して近所のスーパーを2~3カ所回ります。面接のための交通費や写真代もばかにならない」と語るキヨアキさんの足取りは重い。近く、住居確保給付金について自治体に問い合わせるつもりだ(写真:編集部撮影)

職場を追われるのは非正規雇用

非正規雇用の現場を取材していると、同じ部署で同じ仕事を続ける契約社員や派遣社員、非正規公務員のほうが、異動で入れ替わる正社員や正規公務員より業務に精通しているという状況に出くわすことは珍しくない。

非正規雇用労働者の中には「正規は仕事ができない」、正規雇用労働者の中には「非正規のせいで仕事がしづらい」という人もいる。

それぞれに言いぶんはあろうが、私はこうした「非正規VS正規」の対立の構図にさほど関心はない。問題の本質は、安易に非正規雇用労働者を増やしてきた政策や制度にあると考えるからだ。

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醜悪なのは、ひとたび対立が起きれば、職場を追われ貧困を強いられるのは、たいてい不安定な立場の非正規雇用労働者であるという現実ではないか。

キヨアキさんの失業保険の給付は間もなく終わる。しかし、再就職のメドは立っていない。最後の出勤日に胸中を占めた静かな怒りは、底知れぬ不安へと変わりつつある。

藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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