勤続15年でも…50歳男性が遭った"派遣切り"の闇――粉々になった「会社から必要とされている」自負と最終出社日の孤立

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

安い家賃のアパートに引っ越しをしたくても、初期費用を工面できない。家賃は分割で払うことで大家側の承諾を得たものの、暮らしはあっという間に困窮した。

「食費にかけられるのは1日500円。物価高で、カップラーメンとポテトチップスを買ったら終わりです。ラーメンにウインナーを入れるのが、たまに許される“ぜいたく”」とキヨアキさん。この間、ズボンのベルトの長さが穴2つぶん短くなった。

日本には住宅に関する補助制度がないわけではない。住まいを失う恐れがある人に家賃の一部などを補助する「住居確保給付金」だ。しかし、キヨアキさんは最近までこの制度のことを知らなかったという。

実はキヨアキさんは、知人に声をかけられ、家賃高騰の実態や補助制度の拡充を訴える市民団体などが行った記者会見に、当事者として参加した。

家賃の上昇傾向を受け、市民団体などが行った記者会見。キヨアキさんも雇い止めとアパートの契約更新、家賃アップのタイミングが重なったことによる窮状を報告した(2026年3月6日、厚生労働省/写真:筆者撮影)

20カ所以上に応募するも…

キヨアキさんは、制度の周知不足などについて次のように訴える。

「雇い止めや派遣切りに遭って、家賃が払えなくなるということは誰の身にも起きると思うんです。せっかく(住居確保給付金のような)制度があっても、知らないと使えない、こちらから言わないと使えないのは問題ではないでしょうか」

一方で、転職活動も苦戦している。

コールセンターでの業務の専門性が高かったことから、ハローワークでは、専門職として正規公務員の採用試験を受けるよう勧められた。しかし、結果は不採用。非正規公務員も含めると20カ所以上に応募したが、採用にはいたっていない。

次ページ問題は正規vs非正規ではない
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事