キヨアキさんの派遣元と派遣先は、誰もが名前を知る大手企業である。しかし、派遣社員に対する脱法的な扱いは、乱暴な雇い止めだけにとどまらない。
キヨアキさんによると、派遣社員には3年ごとの部署異動があったという。派遣社員が同じ部署で働くことができる期間を3年に制限する「派遣の3年ルール」を意識したものと思われる。
ただ、異動といっても「リーダーの正社員が変わるだけとか、以前の部署に戻るとかで、業務内容は実質同じでした」と証言する。
3年ルールの目的は、期限を迎えた派遣社員を正社員化するなどして、雇用の安定を図ることだ。3年ごとに契約をリセットするような運用は、法律の趣旨に反している。
また、キヨアキさんは契約期間が通算5年を超えれば無期雇用に変えられる「無期転換ルール」についても、一度も説明されなかったと訴える。
改めて契約書を見直したとき、同ルールのことが書かれている箇所を見つけ、初めて自分に安定して働き続ける権利があったことを知ったという。口頭で説明しなかったからといって、ただちに違法とはいえないが、キヨアキさんは無期雇用になれる機会を失った。
氷河期時代に転職を繰り返す
キヨアキさんは地方都市の出身。専門学校を中退したあとは、都内の製造業などを中心に工場で働いた。正社員だったこともあれば、アルバイトだったこともある。
就職氷河期世代だが、就職に苦労した記憶はない。転職を繰り返したのも「自由で気ままな性格なので」と言う。そして30代後半でコールセンターの仕事に出合い、50歳で“派遣切り”に遭った。
運が悪いことに、このとき賃貸アパートの契約更新のタイミングが重なった。失業保険の受給で、収入はそれまでの3分の2以下に減ったところに、1DKの家賃8万7000円と更新料の負担がのしかかる。さらに家賃の1000円アップまで通告された。
キヨアキさんの趣味はスマホの移動系ゲーム。実際に全国各地を移動しながらミッションをクリアするので、交通費がかかる。加えて独身の1人暮らしで外食が多く、「自分が派遣切りされるとは思っていなかった」というキヨアキさんには、ほとんど貯金がなかった。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら