正社員にはあるボーナスや住宅手当といった福利厚生もなし。ストレスで心身に不調をきたした正社員には休職制度があったが、派遣社員は辞めるしかなかった。
理不尽な格差を不公平だと感じることもあったものの、不満を口にしなかったのは、会社や顧客から必要とされているという自負があったからだ。
次第に「目の上のたんこぶ」に
雲行きが怪しくなったのは、雇い止めの1年ほど前から。補償の有無や程度をめぐって、上司たちとぶつかる場面が増えた。
キヨアキさんに言わせると、制度の範囲内でできるだけ顧客の要望に沿いたい自分と、補償内容の切り下げや、あわよくばゼロにしたいと考える上司側との対立である。
キヨアキさんが「同じ事例で以前は補償していました」と指摘しても無視されたり、上司から「お前がクビにならないのは俺のおかげ」といった暴言を吐かれたりするようになった。派遣元の担当者から「(派遣先の)言うことだけ聞いてやっていればいいんです」と釘を刺されたのも、このころのことだ。
会社の方針が変わったのか、上司の人柄に問題があったのかはわからない。ただ「自分が目の上のたんこぶになりつつある」という自覚はあった。
だから雇い止めは寝耳に水であると同時に、「やっぱりか」とも思ったという。案の定、自身の後釜には別の派遣社員が配置されたと、元同僚から伝え聞いた。事実なら「業務縮小」という派遣元の説明は虚偽だったことになる。
法律的なことをいえば、キヨアキさんの雇い止めは無効と判断される可能性が高い。長年にわたって契約更新を繰り返しており、実質的には期間の定めのない雇用と同じとみなされるからだ。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら