社会的地位あっても不正に手を染めてしまう…「ホワイトカラー犯罪」なぜ起こる?4つの抜本的対策

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6. 国際輸送代理店の取引条件・報酬情報の事例
<棄却された原因>

秘密の明示欠如と広範なアクセス:取引先への報酬に関する情報がメールや稟議書で社内共有される際に、営業秘密である旨の表示がされていなかった。

さらにシステム上でも、特定の請求額がBLナンバー(船荷証券番号)等の一般情報と区別されずに混在して記載されていた。

加えて、全従業員のうち現業社員を除く「約8割」もの従業員がシステムにアクセス可能であったことから、他の情報と区別して秘密管理されていたとは認められなかった。

経営層が主導すべき「4つの抜本的対策」

秘密管理性が棄却された判例を見ると個人情報や設計図等、従業員であれば「容易に機密性が高い」と判断できる情報であったとして、営業秘密の要件を満たしていなければ棄却されることがわかった。

これらを踏まえて秘密管理性を主張するための対策として重要な4つのポイントを以下にまとめる。

1. アクセス権の「最小化」と「動的運用」
Need-to-knowの原則:営業秘密として保護すべき情報へのアクセスは「業務上本当に必要な者」だけに限定し、部門や役職に応じた細かな閲覧制限を設ける。

退職者への即時対応:退職者や異動者が出た際は、即座にアカウントを削除する。共用パスワードを利用している場合は一斉に変更する等の運用を徹底する。

2. 情報の「見える化」と「分離」
秘密の明示:重要なデータ、ファイル、フォルダには必ず「社外秘」「部外秘」と明記する。システム画面やアクセス時にも「この情報は営業秘密に該当します」といった警告文を表示する。

一般情報との分離:誰でも見られる一般情報と、営業秘密となる重要情報は、システムやフォルダの階層を明確に分けて管理する。

3. ルールの「具体化」と「組織的な教育の徹底」
対象の特定
:就業規則等において、抽象的な表現ではなく「原価データ」「特定顧客のリスト」「設計図面」など、何が秘密情報に該当するのかを具体的に特定して明示する。

教育の義務化:全従業員に対して、秘密保持に関する研修の受講を義務付ける。産総研の事例では、定期的な研修の義務付け等による組織的な管理体制が評価され、刑事事件での有罪判決につながった。

4. 物理的・技術的な「持ち出し制限」の強化
私用端末の制限:私物パソコンやスマートフォンでの業務データの取り扱いを原則禁止とするか、高度なセキュリティ管理下に置く。

外部提供時の証拠化:外注先などの外部企業に情報を見せる際は、必ず書面等の客観的な証拠に残る形で「秘密保持契約(NDA)」を締結する。NDAの証拠がなく棄却された判例がある。

100年以上前の犯罪学では、犯罪とは窃盗や暴力的な行為であり、貧困や教育の欠如といった生活環境に問題を抱える低所得層が引き起こすものと考えられていた。

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