これに対して日本テレビのアナウンサーは、まだ何も起きていない段階から盛り上げようとして、言葉を畳みかける傾向があるように感じた。
たとえば、接戦の終盤で「2死二、三塁、打席に強打者」という場面があるとする。オフチューブのアナウンサーは、「2アウトまでこぎつけました。打席には〇〇」と短く伝える。一方、日本テレビのアナウンサーは、「さあ、1点もやれない状況です。闘志あふれる××投手、目が燃えています。気合が一段と入る打席の〇〇。観客席の家族も見守っています」などと語る。私などは、「すごい場面なのは、言われなくてもわかっている。少しは集中させてくれ」と思ってしまう。
島村俊治アナの「言葉の美しさ」
メディアでもいくつか報じられたが、今回の放送では島村俊治アナの「言葉の美しさ」が際立っていた。最初の担当試合、プールBのアメリカ対ブラジル戦の冒頭で、島村アナは静かに「野球の世界一を決める大会、ワールドベースボールクラシック。20の国と地域から、ワールドチャンピオンを目指すチームが集まりました」と語り始めた。
このコラムでも紹介した通り、筆者は島村アナとは旧知の間柄だ。連絡した折には、「アメリカ対ブラジル戦を、真中満さん、高津臣吾さんと中継します。二人はブラジルの松元ユウイチ監督の恩師です。いい話が聞けると思いますよ」などと話していた。オリンピックをはじめ数々の大舞台を経験してきた84歳のレジェンドアナは、今大会でも気合十分だった。
解説者では、五十嵐亮太、内川聖一、岩村明憲、伊東勤、吉井理人など「目の前で起きていることを的確に説明できる」ことで定評のある顔ぶれに加えて、黒田博樹や中嶋聡など、意外性のある人選も「聞かせる」解説をしていた。黒田は山本由伸の最初の登板で「彼は本調子ではない」と指摘し、その見立てにはうならされた。中嶋聡は「監督目線」の短く鋭いコメントを連発した。30人もの解説者を起用しただけに、思わぬ収穫もあった。
オフチューブのベストゲームは、3月8日のプールA、プエルトリコ対パナマ戦だ。タイブレークの延長戦でダレル・ヘルネイズのサヨナラ本塁打が飛び出し、プエルトリコが勝った。実況は谷口廣明、解説は小笠原道大。しみじみと感動した。





















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