WBC日本敗退でネトフリ解約の声もあったが…。全47試合を視聴してわかったテレビの野球中継に決定的に欠けているもの

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これに対して日本テレビのアナウンサーは、まだ何も起きていない段階から盛り上げようとして、言葉を畳みかける傾向があるように感じた。

たとえば、接戦の終盤で「2死二、三塁、打席に強打者」という場面があるとする。オフチューブのアナウンサーは、「2アウトまでこぎつけました。打席には〇〇」と短く伝える。一方、日本テレビのアナウンサーは、「さあ、1点もやれない状況です。闘志あふれる××投手、目が燃えています。気合が一段と入る打席の〇〇。観客席の家族も見守っています」などと語る。私などは、「すごい場面なのは、言われなくてもわかっている。少しは集中させてくれ」と思ってしまう。

(写真:筆者撮影)

島村俊治アナの「言葉の美しさ」

メディアでもいくつか報じられたが、今回の放送では島村俊治アナの「言葉の美しさ」が際立っていた。最初の担当試合、プールBのアメリカ対ブラジル戦の冒頭で、島村アナは静かに「野球の世界一を決める大会、ワールドベースボールクラシック。20の国と地域から、ワールドチャンピオンを目指すチームが集まりました」と語り始めた。

このコラムでも紹介した通り、筆者は島村アナとは旧知の間柄だ。連絡した折には、「アメリカ対ブラジル戦を、真中満さん、高津臣吾さんと中継します。二人はブラジルの松元ユウイチ監督の恩師です。いい話が聞けると思いますよ」などと話していた。オリンピックをはじめ数々の大舞台を経験してきた84歳のレジェンドアナは、今大会でも気合十分だった。

解説者では、五十嵐亮太、内川聖一、岩村明憲、伊東勤、吉井理人など「目の前で起きていることを的確に説明できる」ことで定評のある顔ぶれに加えて、黒田博樹や中嶋聡など、意外性のある人選も「聞かせる」解説をしていた。黒田は山本由伸の最初の登板で「彼は本調子ではない」と指摘し、その見立てにはうならされた。中嶋聡は「監督目線」の短く鋭いコメントを連発した。30人もの解説者を起用しただけに、思わぬ収穫もあった。

オフチューブのベストゲームは、3月8日のプールA、プエルトリコ対パナマ戦だ。タイブレークの延長戦でダレル・ヘルネイズのサヨナラ本塁打が飛び出し、プエルトリコが勝った。実況は谷口廣明、解説は小笠原道大。しみじみと感動した。

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