即戦力育成か、人間力の涵養か? ニデック永守氏が京都先端科学大学で問われる「長期の実学」と新たな「良心」
では、永守氏は「短期の実学」に加えて、この「長期の実学」を教育の軸に据えることができるのか。2月26日に発表された永守氏の退任メッセージ「すべてのステイクホルダーの皆さんへ」を手がかりに、その可能性を考えてみたい。
永守氏は退任メッセージで、「人材育成という『もう一つの私の夢』に本格的に挑戦していきたい」と述べている。この言葉は、ニデックを去った後の活躍の場が京都先端科学大学であることを暗示している。
では、永守氏は京都先端科学大学の理事長としてとどまり続けることができるのか。私立学校法では、理事長は欠格事由に該当しない限り就任可能であり、逮捕や有罪判決前の段階では法的に辞めさせる根拠は原則として存在しない。
文科省は学校法人を監督する立場にあるが、役員の就任を個別に認可する制度はない。法律上はとどまれるとしても、学生や教職員の信頼が揺らいだとき、事実上のリーダーシップは空洞化する。ニデックで起きたこととどこか重なって見える。
「良心」とどこまで真剣に向き合えるか
問題の本質は、法的資格よりも深いところにある。永守氏はメッセージの中で「自らの良心に照らし、自分の人生のすべてをかけて、私としての社会的責務を全うしようと努めてまいりました」とも記している。
一代で世界的企業を築き上げた人物が、その晩年に「良心」という言葉を使わざるをえない状況に追い込まれた。しかし第三者委員会が指摘したのは、まさにその組織に忖度が蔓延していたという事実だった。
良心に照らして行動してきたと言いながら、第三者委員会が指摘したとおり、ニデック社内では異論が封じられ、忖度が蔓延していた。その矛盾を、永守氏自身はどう受け止めているのか。
永守氏が起業する際、母は「人の倍働かないと成功できない。人並みに働いて成功なんて絶対にない」と叱咤激励した。彼はこの一言を胸に刻み、ニデックを成長させてきた。その思いを言葉にした行動指針が「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」「情熱・熱意・執念」「知的ハードワーク」である。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら