文科省や教育委員会が《教員の働き方の「見えない化」》を加速?「見える化」するはずの旗振り役に足りない視点

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私は、中教審や参議院での参考人陳述の際に、教員勤務実態調査は何年か一度は続けるべきだ、と述べてきた。

ところが、文科省は、昨年の給特法改正の国会審議の際にも繰り返し、勤務実態調査はしない、教育委員会が収集しているタイムカードなどのデータ集計で十分である旨を答弁してきた。エビデンスベース以前に、正確な事実確認すら怪しいのが国の仕事なのか?

◎筆者が国会での参考人陳述で述べた内容

筆者が国会での参考人陳述で述べた内容
(出所)参議院文教科学委員会(2025年5月27日)での筆者提出資料

働きがいと働きやすさはともに高まっているか?

もう1つ、今回の調査で見えてこないものは、「教職員の声」だ。教職員向け調査ではないので限界はあるのだが、働き方改革の一番の当事者である教職員(ここでは校長、教頭等を含む)は、どう感じているだろうか。

残業時間が一見減ったように見えても、同僚と雑談することすらはばかられるくらい、余裕のない職員室。「早く帰りましょう」とばかり言われるが、欠員状態(教員不足)で、子どもたちに不利益があってはいけないと、必死にカバーしている学校現場も多い。

「#教師のバトン」が炎上したように、自由記入などで意見募集すると、また大変な数の声が寄せられる可能性はあるが、文科省・教育委員会が聴く価値はあると思う。

文科省・中教審も「働きがい」と「働きやすさ」の両方を高めることが重要と言ってきた。だが、一連の調査で測定されているのは、残業時間と有給休暇の取得状況をはじめとする、主には「働きやすさ」の一部に過ぎない。

「働きやすさ」という観点でもまだ不十分な実態把握だとは思うが、「働きがい」や心身の健康状態、教職員の研修・学びの充実などについては、ほとんど「見える化」されていない。そして、前述のとおり、わかりやすい数字である残業時間が長いかどうかだけが評価され、教育委員会も教職員も苦しめていく。

実際には、ストレスチェックによると、高ストレス者は近年増加傾向にある(公立学校共済組合「ストレスチェックデータ分析結果報告書」)し、精神疾患による休職者・離職者も減らない。これでは、いくら残業が減っても、ウェルビーイングとは言い難い。

今後の必要な対策としては、わかりきっている。すでに指摘した問題に手を付ける以外にはない。その進捗状況こそ、文科省、教育委員会は「見える化」していくべきだ。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
妹尾 昌俊 一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、OCC教育テック大学院大学 教授

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せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP研究所)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中。

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