少し手間をかければ、全国あるいは都道府県ごとの教員の残業時間が長い自治体リストを作成することも可能だ。
勤務時間が長い自治体には、都道府県などから強い圧がかかることは容易に予想できるし、地方議会でも追及される可能性がある。これは必ずしも悪いことばかりではないが(教委や校長が重い腰をやっと上げるかもしれない)、その結果、教育委員会から校長へ、校長から教職員へ、もっと時短せよという圧は一層強まるだろう。
これでは、上記の3つの背景、残業の「見えない化」は解消されず、よけい悪化する可能性が高い。
何に忙しいかが「見えない」
本件に限らないが、政府によるデータ収集や結果分析(しかも自治体間の差を煽らんばかりのもの、全国学力調査など)で注意したいことがある。
それは、測定されていない重要なことにも注目することだ。今回の「見える化」調査に関連しては、前述した過少申告や持ち帰りなどの「隠れ残業」に加えて、重大なのに見えていないことが2つある。
1つは、残業の内訳がわからないことだ。当たり前だが、何に忙しいか、負担になっている背景や要因を探らなければ、有効な対策は打てない。だが、教育委員会が収集するタイムカードなどのデータでは、出退勤時間しかわからない。どんぶり勘定に近い。
それゆえに、文科省も、教育委員会も、校長も、多くの場合、学校・教職員に対して「長時間勤務をなんとかしなさい」としか言わない、というか言えないのである。
同じ文科省の調査で、教員勤務実態調査では、どんな業務に何分使っていたか毎日、1週間記録をとるので、手間はかかるものの、どこが大きな負担なのか一目瞭然だ。
例えば、直近で実施した22年の勤務実態調査によると、小学校教諭については、教科指導(授業+朝の業務+学習指導)と授業準備・成績処理(採点等)だけで、週50時間未満勤務している人で1日あたり約7時間3分、週50時間以上60時間未満の人で1日約7時間45分、週60時間以上の人で1日約8時間16分かかっており、正規の勤務時間(7時間45分)が埋まってしまっていることがわかる。
事務作業や会議の見直しをすることも大事だし、ICTや生成AIを活用した負担軽減なども進めるべきだが、それらだけでは解決しようがない。
子どもたちのためになる教育活動の中からも一部減らすか、あるいは(and/or)教員数を増やすしかない(ほか、授業準備等の方法の見直しも課題とはなるが)。





















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