第1に、勤務時間・残業時間の計測方法の妥当性に疑義がある。文科省の集計は各教育委員会から出された数字を足し合わせたものに過ぎない。教育委員会ごとに計測方法は異なっている。国立学校ではなく、市区町村立学校や都道府県立学校であるため、自治体ごとにシステムが違うのだ。
一部の自治体では、小中学校や特別支援学校で日中はほとんど取れていない休憩時間(1日あたり45分)が勝手に控除されているところや、正規の勤務時間前の早朝の残業や休日の勤務は計測されない仕組みのところもある。つまり、自治体のシステム上、過少申告になってしまっているケースがある。
文科省は令和7(2025)年度末までに、すべての教育委員会においてタイムカードなどの客観的な方法で時間把握予定と、資料にも注記しているが、自治体ごとの測定方法の問題については沈黙している。こういう問題こそ、指導・助言したらよいのに。
第2に、教職員が過少申告するケースがある。これはさまざまな教職員組合の調査や名古屋大学 内田良教授の調査などでも指摘されてきたことだが、比較的新しい調査で25年に1万7683人が回答した日本教職員組合の調査によると、次のとおり、小学校教員の約3割、中高教員では4割近くが「短く記録したことがある」と回答している。
組合員が回答しやすいなどランダムサンプリングではないが、仮に約3~4割が過少申告しているのだとしたら、タイムカード等のデータは正確とは言えない。
◎勤務時間を短く記録したことがあるかどうか
この日教組の調査では過少申告する理由についても尋ねている(複数回答)。「管理職に指摘される」36%、「医師と面談するのが面倒」36.9%が多く、健康リスクの高い長時間勤務の人ほど過少申告している可能性が高い。また、数は多くはないかもしれないが、校長や教頭から過少申告するように促される場合もあるようだ。
私の知人は次のように教えてくれた(文意を変えない範囲で一部編集)。
第3に、持ち帰り仕事はカウントされていない。家などでいくら授業準備などを頑張っても、反映されない。テレワークを認めて、勤務時間をモニタリングしている自治体もあるが、ごくごく一部である。
つまり、文科省は「見える化」調査を展開しているのだが、残業はどんどん「見えない化」してしまっている可能性が高い。
残業の「見えない化」が悪化する可能性も
しかも、今回の調査から市区町村ごとの残業時間の状況も公表されている。一例だが、東京都内の公立中学校教諭について見ると、時間外が月80時間超の人は、ほとんどいないという市区町村もあれば、15%近い自治体もある。





















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