元・為替市場課長が解説「ドル円相場の基本のキ」 過去から学ぼう 為替は"経済の深い流れ"に沿い従う

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そう、大きな違いは見られないのです。「円高になるのは早いが、円安になるのはゆっくり」とか、「円安は長く続くが、円高は短い」といった違いは、見られません。

更に重要なこととして、「上がる時もあれば、下がる時もある」という当たり前のことが分かります。

ところが、過去において、一方への「振れ」の期間がある程度続くと、「これは新常態だ」「構造的な変化でありこの水準は定着する」という声が出ることがありました。

今も、この文脈で、「今の円安は新常態」「日本からの資金逃避は長く続く」、更には「日本売りは構造的なもの」という意見まで聞こえて来ます。

しかし、2010-12年の円高の際も、「もはやこの円高は新常態」「円への選好は構造的なもの」という声が頻繁に聞こえて来たものでした。

今の為替水準が「円安」だということは否定する人はいないと思うのですが、「変化は構造的なもの」ということであれば、経済や資金の深く大きな流れの「構造的な変化」とは何でしょう?

2.深く大きな流れの「構造的変化」の検証

円安とは関係無いですが、経済や資金の深く大きな流れの中の変化として明確に指摘できるものは、「日本の経常収支黒字増加の定着」です。下のグラフは、2025年までの国際収支フローの推移のグラフです。

為替
(画像:かんき出版提供)

貿易収支は時に大きく振れ、最近4年間赤字ですが、経常収支(折れ線グラフ)は安定して黒字で、近年は更に増加。もはや「構造的」なものになっています。

経常収支を黒字にしている要因が棒グラフの「第一次所得収支」であることは明らかです。これは、日本企業が過去に海外に行った投資のリターンです。日本の「稼ぐ力」が強くなっている、ということです。

日本企業は、こうして稼いで得たお金を、更なる収益機会を求めて海外への投資に回している、というのが現状です。

こうした状況が、「日本からの資金逃避は長く続く」「円売り・日本売りは今や構造的」といった主張を裏付けるものでしょうか?

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