なかでも、「肝臓専門医がすすめる食事アドバイス」と「腎臓専門医がすすめる食事アドバイス」でもっとも大きな食い違いが出るのが「たんぱく質の摂り方」について。なにしろ、たんぱく質に関しては、これまで肝臓サイドと腎臓サイドで「ほとんど真逆の摂り方」をすすめてきたようなものなのです。
ざっくりと説明しておくと、肝臓サイドでは基本的に高たんぱく食をおすすめします。肝臓で生成されるコレステロールはさまざまなホルモンをつくる材料になり、そのホルモンが心身に活力をもたらしています。また、栄養を体の各部位に運搬する役割を果たしているアルブミンも肝臓においてつくられています。こういったホルモンやアルブミンを生成するにはたんぱく質の摂取が欠かせないのです。
そのため、肝臓専門医は、心身に活力をもたらす肝臓の働きを高められるように、肉や卵などの高たんぱく食を摂るのを積極的にすすめるわけです。
たんぱく質は「摂りすぎ・控えすぎ」もNG
一方、腎臓サイドでは「基本的にたんぱく質を控える」ことをすすめます。たんぱく質を代謝するとたくさんの老廃物が生まれるのですが、その老廃物の処理が腎臓の濾過機能に大きな負担をかけることになるのです。
そのため、腎臓専門医は、腎機能低下が進んできた人がこれ以上濾過機能を落とすことのないように、肉や卵などの高たんぱく食の摂取を制限するように求めるのが普通です。現行のガイドラインでも、慢性腎臓病の人が「1日に摂っていいたんぱく質の量」は進行ステージごとに細かく規定されています。
ただ、これにはひとつ、気をつけなくてはならない点があります。
それは、高齢者の場合、たんぱく質を減らしすぎて栄養が足りなくなると、自分の体の筋肉を分解してたんぱく質を補おうとするシステムが稼働して、筋肉がてきめんに減ってしまうケースが多いことです。
このシステムが働き出すと、短期間のうちにサルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)が進んでしまうことが少なくありません。筋肉量が大幅に減少すると、転倒骨折や誤嚥性肺炎を起こすリスクも高まるため、寝たきりになる可能性も出てきます。
しかも、「筋肉→たんぱく質」の分解を進ませてしまうと、結果的にたんぱく質を大量に食べたのと同じことになり、それが腎臓の負担となって、いっそう腎臓病を悪化させることにつながってしまうのです。
そのため、最新の慢性腎臓病のガイドラインでは、「食事量やたんぱく質の控えすぎに気をつけるように」と注意を促す文言も盛り込まれるようになってきています。





















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