「死んだほうがいいかも」…本州進出を中止したニトリ会長の独白、4億円の違約金を払い"土下座の勢いで謝罪"した過去

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すると、のちにニトリの社長となる白井俊之ら1979年に入社した新卒採用の4期生たちが猛反発。

「日本人にアメリカのような豊かな生活をもたらすのがニトリのロマンとビジョンだと言ったじゃないですか!」「このまま北海道にとどまっているつもりですか?」「話が違う!」「全国展開しないのなら、私たちは辞めます」。熱く、真っ直ぐに私に迫ってきました。

これには私も反省しました。社員の中にはすでに、社長の意思を超えて会社を発展させようという主体性が生まれていたのです。

とはいえ、当時のニトリの年間売上高はまだ100億円にも届かず、利益率も5%程度。本州への出店に向けて加速するには、まだまだ経営の体力が乏しい状況でした。会社が潰れるか、本州に出るか。いずれにしろ彼らとの約束を裏切ることはできない。もし潰れたとしたら、それまでだ! と私は腹をくくった……はずでした。

というのも、店舗用地として千葉と茨城に押さえた土地を確認するため、東京に向かう飛行機に乗っている時、私は「死んだほうがいいかもな……」と考えていたからです。

本州進出を決断したのに、心の奥のほうにはまだ「本州に出るのが嫌だと思う自分」がいました。大きな葛藤を抱えると、私は何かと生死の「死」のほうに発想が向かってしまうんですね。初めてアメリカ視察に行く前と似たような感覚でした。普段は明るくニコニコしているので周りには伝わりにくいですが、私はそういう性分なのだと思います。

そんな心理状態の中、バブル景気で工事費や資材費はぐんぐん上昇し、1店舗あたりの建設費が坪40万円との見積もりが届きます。北海道の2倍以上です。これでは開店にこぎ着けたとしても赤字が続いてしまいます。

状況が悪い時に撤退する勇気を持つ

本州進出は時期尚早か……? そう悩む気持ちもあり、経営コンサルタントでチェーンストア研究団体「ペガサスクラブ」設立者の渥美俊一先生に相談すると、こう言われました。「状況が悪い時に撤退する勇気を持たない会社は、ダメになる。一時的な損失を出しても退く勇気は必要だ」。

悩みに悩んだ末、私は地主たちに出店中止を申し入れました。1カ所はすでに基礎工事が始まっていたので、その現場で土下座する勢いで頭を下げたのを覚えています。この失敗の授業料は高くつきました。経常利益が6億円の時期に4億円の違約金を支払うことになったのです。

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