「10年で外国人倍増」相談件数急増の世田谷区から見る日本社会の歪み、"排外的な風潮"が日本人をも傷つける皮肉

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「少子高齢化は世田谷でも進んでいます。伝統行事の担い手が減ってきているとも聞きます。それなら外国人にも参加してもらって、地域社会を一緒に支えてもらえばいいと思うんです。お祭りでもごみ拾いでも、外国人の力を活用してほしい」

その過程で、互いを知ることができる。外国人に対する漠然とした不安が広まっている理由のひとつには、外国人と実際に接している日本人の少なさがある。それなら商店街でも自治会でも、もっと外国人に声をかけて加わってもらってはどうか。顔の見える、あいさつを交わせる関係ができていれば、不安も減るだろう。

「でも現状は、地域のイベントに参加したいけれどどこでなにをやっているのか、どうやって参加したらいいかわからないという外国人の声もあります。また世田谷区には『クロッシングせたがや』という施設があって、これは日本語教室や国際交流イベント、生活相談などを行っている本当に素晴らしい場所なんですが、その存在を知らない外国人が多い。

区が2025年に外国人住民に対するアンケートを行ったら、『クロッシングせたがや』を知らないという方が73.2%、知っているけれど利用したことがないという人が22.4%、知っていて利用したことがある人はわずか4.4%だったんですね。周知がまったく足りていないんです」

世田谷区に住む外国人は3万0802人(2026年3月1日現在)。10年前の2016年3月1日は1万6861人なので、倍近くになった。世田谷区全体の人口に占める外国人率も1.9%から3.3%に伸びている。この人々がもっと地域社会に入ってくることで、活力が生まれる。

「それに、もし災害が起きたときにもきっと助け合えると思うんです。いま『多文化共生』って言葉がすごくマイナスのイメージを持たれてしまっていて悔しいんですが、本当の意味で共生できるようになれば日本人にとっても大きなメリットがあるはずです」

ひらがなが、ひとつの「美」に見えた

オルズグルさんの生まれは、ウズベキスタンの首都タシケント。当時はまだ独立国ではなく、ソビエト連邦を構成する共和国のひとつだった。母も祖父母も教師という家庭で育ち、たくさんの本に囲まれていたこともあって「本を読むのが異常に好きな子供でした」とオルズグルさんは思い返す。ウズベキスタンやロシアの文学だけでなく、ロシア語に訳された松尾芭蕉や太宰治、川端康成なども読み漁った。

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