「10年で外国人倍増」相談件数急増の世田谷区から見る日本社会の歪み、"排外的な風潮"が日本人をも傷つける皮肉

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「外国人の親友が悲しんでいるという人、外国人とともに働いている人、海外とビジネスをしている人……どうしたらいいんだろうとたくさんの日本人からお話をいただいています」

地方議員は地域の人々の駆け込み寺のような役割もある。だからいろいろな相談が持ち込まれるのだが、地盤としている世田谷だけではなく、区外から悩みが寄せられることも多くなっているそうだ。

外国人をもっと地域社会に巻き込むべき

「とにかく主語が大きすぎるんですよ」

オルズグルさんは憤る。報道も政治家も「外国人問題」とひと口に言うが、すべての外国人に問題があるようにも感じてしまう言葉だ。外国人にもいろいろな国籍や背景や職業やそれぞれの人生があり、問題のある人もない人もいる。つまりは日本人となんら変わらない。納税の義務があることも同様だ。

「だから日本人、外国人ではなく、ルールを守る人、守らない人で区別すればいいと思うんです」

そしてルールやマナーを守らない外国人がいる背景には、ルールそのものが周知されていないことがあるとオルズグルさんは言う。

「ここは日本ですから、日本のルールとマナーを尊重すべきです。でも、そのルールが日本語のみで書かれていたりする。もちろん日本で暮らすなら日本語を学ぶことが必要ですが、日本に来たばかりの人や観光客はわからない。だから多言語表記をするとか、ピクトグラムを多用するといった取り組みを進めるべきです。ルールを守りたくても、守るための知識を得られない現状もあるのです」

そんな提案を、世田谷区議会でも繰り返してきた。

「区のホームページは多言語対応していたのですが、たとえば英語版を見てみたら何年も前の台風警戒情報がそのまま残っていたりして、更新されていない。世田谷区防災ポータルというサイトもあってこちらも多言語で表示ができるのですが、言葉を切り替えるための入り口は『言語選択』という日本語のボタンだけ。世田谷区には『多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例』というものがあるのですが、それでもこの状態だったんですね」

こうした点をひとつずつ議会で提案し、改善を進めてきた。加えてひんぱんに言い続けてきたのは「地域社会に外国人を巻き込んでいくこと」だ。

2026年2月の議会では和装で登壇。世田谷区議会では着物での質問登壇は数十年ぶりだったとか(写真:オルズグルさん提供)
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