「謝罪したのに、ますます非難され…」 元朝日新聞記者が指摘《炎上するお詫び文》に必ず"書かれている"こと

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さて、このおわび文、どのあたりが「嫌われる文章」だったのでしょうか?

不祥事や問題が起きた際、企業が公表するおわび文や謝罪文。たいていはよく練られ、真摯に反省し、再発防止に向けた姿勢を表した文章になっています。しかし、中には誠実そうに見えて、実はほとんど謝っていないものもあります。

今回の例文は、その典型です。食品の産地偽装についておわび文の形をとりながら、説明と自己弁護に重心が置かれています。そのため、この会社が何を問題として捉えているのか、読み手には今ひとつ、伝わってきません。

「一部商品における産地表記について」というタイトルが、すでにこの文章のトーンを物語っています。産地の誤表示、という核心部分に触れておらず、「お知らせ」や「ご報告」に近い印象を与えてしまっています。

続く本文では、「原材料の納入業者が海外産鶏肉を使用したことが発端です」と書かれています。経緯を説明しているようで、やはり「他責」の印象を受けてしまう。

理由の一つは、問題の原因を伝える最初の文で、主体を「当社」ではなく「納入業者」にしたこと。

もう一つは、「当社は事態を常に正確に把握していました」と自社の正当性を打ち出している点です。これでは、まるで納入業者の不手際と不可抗力によって、産地の誤表示が起きたかのように読めてしまいます。

文章の目的は、あくまでお客様へのおわび

大切なのは「正当性」の証明ではなく、原因や背景を明確にすること。例えば、「海外産の鶏肉が混在していたにもかかわらず、当社の確認体制が不十分なため見落としていました」と書けば、原因や責任の所在がはっきりします。

さらに注目したいのが、「意図的な偽装ではなく」「品質や安全性に全く問題はなく」という部分。本来、この手の文章の目的は、問題の軽重を説明することではなく、「信頼を損なったこと」にどう向き合うかを伝えることです。

「安全性に問題はない」と書けば書くほど、文章の焦点は「安全かどうか」に移り、肝心の「原因は何か」「どう再発を防ぐか」という本題がぼやけていきます。

次ページおわびの気持ちを伝えるには…
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事