放映権がないのに異常なはしゃぎ方、スコアボードだけで実況した番組も…WBC「なんちゃって中継」でテレビ局が掘る"墓穴"
ネトフリのこうした動きを強く後押ししているのがテレビ局だから、なんとも皮肉な話だ。サブスク配信が会員を増やしても、テレビ局のビジネスと関係ない、と思う人もいるだろう。だが、ネトフリはWBCを広告事業の“起爆剤”に位置づけている。
WBCのライブ配信で流れるCMは60秒の長尺が中心で、ブランディング広告の場となるのだろうと予測していた。だが実際には、次々と15秒スポットが流れた。これはテレビCMだと感じた。
6日の侍ジャパン初戦の配信で、私は出てくるCMをメモした。東京プールのスポンサーでもあったdip、お〜いお茶(伊藤園)、ボルテックス、BAKUNE(TENTIAL)をはじめ、自動車メーカー、生命保険、損害保険、銀行、食品などなど。出てくる企業はいわゆるナショナルスポンサー、テレビCMの主要な広告主たちだった。
これらの企業の広告担当者がすでにネトフリユーザーだったとしても、これまでは自分たちの広告を流す場としてネトフリを認識していなかっただろう。あそこでうちの会社のCMを流せるのか。WBCなら流してみたい。ポジティブな興味を持つ企業がたくさんいてもおかしくない。
そして、自分でもライブ配信を見て、自社のCMが流れるのを体感したはずだ。何はともあれ「気持ちいい」と感じるはずだ。何しろ、世界的なコンテンツなのだから。
ジワジワと侵食されるテレビ局の食いぶち
WBCライブ配信はビデオリサーチが視聴測定している。テレビCMの視聴データを毎日出す調査会社がネトフリの視聴も計測するのだ。満足のいくデータが出れば、今後、広告媒体として使い始める。
その予算の出所は、ネット広告費ではなく、テレビCM用の予算からの振り替えだ。そうなると、ネトフリに投じる広告費の分だけ、地上波テレビ局の収入が削られることになる。
目下のキー局はフジテレビ以外、史上最高の売上高に沸いている。フジテレビからの流出分が他局に流れているからだ。だが、実はキー局5社を合計すると、放送収入全体は前年から4%ほど下がっている。テレビ広告の長期的減少は続いているのだ。
これに拍車がかかる可能性がある。ネトフリが地上波テレビ局の収入源を侵食するかもしれないからだ。そのために“ネトフリの営業マン”になってせっせと送客しているのは、テレビ局自身だ。それに気づけないほど、WBCにはしゃいでいるのだからどうしようもない。長い目で見たとき、26年3月は日本の放送ビジネスの転換点になるかもしれない。
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