放映権がないのに異常なはしゃぎ方、スコアボードだけで実況した番組も…WBC「なんちゃって中継」でテレビ局が掘る"墓穴"

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だからこそ、テレビ局は「企業判断」としてWBCを拒むことを考えなかったのかと、疑問に思う。

個々の番組の判断が寄り集まってネトフリに自分たちの常連客を送り込むことになる。そこを制御する判断をテレビ局の上層部はしなかったのか。日テレは1次ラウンド東京プールの主催者である読売新聞との関係上、協力するのはわかるとして、ほかの局は「上の判断」がないのが不思議でならない。

一気に「従来会員の4分の1」を獲得?

WBC効果でどれくらいネトフリの会員が増えるのか、興味深いデータがあった。共同通信が行ったWBCについての1000人への電話調査では「試合を見たいので契約した、する」との回答が4.9%だった。「契約しない」が36.4%で、契約者が少ないと言いたげな記事だ。

だが、私はこの結果に驚いた。日本の世帯数全体は5482万世帯(2024年6月時点)なので、4.9%は268万世帯。ネトフリの公表契約数は1000万世帯(同)なので、WBC効果で従来の4分の1も増えることになる。1000万世帯の獲得に9年かかったことから考えると、WBCがいかに効果的なコンテンツかがわかる。

産業能率大学も1万人に対してWBCの調査をしている。「WBCが理由で契約」との回答は4.9%と、くしくも共同通信の調査結果と同じ。さらに「盛り上がり次第で契約検討」との回答が8.8%いた。これは482万世帯に当たる。侍ジャパンが優勝したら、とんでもない契約増になりそうだ。

SNSでは高齢者にとって契約が難しいネトフリへの反感を示す投稿も多かったようだが、「Netflix親孝行」、つまり「家族のためにネトフリを設定してあげた」という内容の投稿も2000件以上あったという。

徳光和夫
3月10日のチェコ戦にゲスト出演した、フリーアナウンサーの徳光和夫さん(写真:Netflix)

オールド野球ファンの1人、フリーアナウンサーの徳光和夫さんはWBCが地上波で放送されないことに不満をあらわにしていたが、電気工事店に頼んだらあまりにも簡単にネトフリで見ることができて驚いたとラジオで語った。その話をネトフリは逃さず、10日のチェコ戦にゲストとして出演させた。日本中で徳さんのようなお年寄りが続々とネトフリに加入しているのだ。

また7日の韓国戦の途中、ホームラン3連発の直後に俳優の戸田恵梨香さんが会場に応援に来ている様子が映され、4月27日からネトフリで世界独占配信される占術家・細木数子さんの生涯を描いたドラマシリーズ「地獄に堕ちるわよ」の予告映像も流された。WBCをきっかけに契約してくれた高齢者を逃さないためのドラマ、と私は踏んでいる。事後の準備もソツがない。

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