通常の教育研究会では、授業案に基づいた授業が確実に行われていたかが指摘されがちですが、学びの共同体で議論されるのは教師の技術の巧拙ではなく、「あの瞬間にあの子はどう学んでいたか」という事実。プロとして意見を交わし、質の高い授業を目指して知恵を出し合う関係性が同僚性なのです。
自分の失敗をさらけ出し、同僚と知恵を出し合う。この「専門家としての連帯」が、教員に高い心理的安全性をもたらし、結果として教員自身のウェルビーイングを高めているようでした。
実際、どの先生も口をそろえて「授業をするのが楽しい」と言います。
教員歴12年という教員は、「10年間、型通りの一斉授業をしてきて、最初は自分にできるか不安だったけれど、同僚の先生から具体的で前向きなフィードバックをいただきながら挑戦することで、今では楽しんでできるようになった」と話していました。
さらに校長の砂田一氏が授業を観る際に大切にしているのは、子どもだけでなく、先生たちの顔色を観察することです。
「今の教員層は30代・40代が中心。育児や親の介護という『ダブルケア』の悩みを抱えている人も多い。彼らの人生に寄り添い、特定の教員に負荷が集中しないようマネジメントすることが、校長の役割です」
豊岡中で、14年前に当時の校長の決断から始まった学びの共同体の取り組みは、こうして次の世代に受け継がれて1つの文化になり、今では入間市全体に広がっています。
学校を「尊厳を認め合い、共に学ぶ共同体」へ
教員のなり手不足を解消するために本当に必要なのは、単なる業務の削減や給与の改善だけではなく、教師が専門職としての誇りを取り戻し、同僚に支えられながら「授業をデザインすることが楽しい」と言える職場環境を再構築することではないのか。
教師がウェルビーイングに働ける職員室こそが、子どもたちが安心して羽ばたける未来を創る土台となる。これが今回の取材を通して感じたことです。
学習指導要領が示す個別最適な学びと協働的な学びを20年以上前から実施してきた「学びの共同体」は、これまでに全国の多くの教員が現場で実践を繰り返し、その成果をシェアし合い、今回の例のように確かな成果も積み上がっています。そこから学べることはたくさんあるのではないでしょうか。
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