しかし現在、バトンを受け継いだ北中の現校長と教頭は、1つの壁に向き合っています。これだけの成果を上げたにもかかわらず、地区の全小中学校に広がった学びの共同体が、校長の交代などで今では北中だけになっているのです。
それでも現校長の三浦伸之氏は「何年ぶりかに北中を訪れたとき、問題行動や不登校が大きく減っていて驚きました。岡安前校長が4年間やってきて、生徒たちの学びに向かう姿勢が育つ土壌はできました。4人1組の授業も当たり前になってきた今、セカンドステージだと思っています」と話します。
定期的に佐藤氏を招いて教育研究会を開催すると共に、教員を学びの共同体のパイロットスクールの研修に出し、さらに授業をブラッシュアップしていくそうです。
一方、学びの共同体で育まれる「非認知能力」が、点数重視の現行の入試制度で必ずしも正当に評価されないという現実についてジレンマもあると言います。
「しかし、社会に出て本当に必要なのは知識の量ではなく、コミュニケーション能力であり、仲間と共創する力です。小学校で授業崩壊を経験し、座っていられなかった生徒たちが、今では最後まで席について主体的に学んでいる。この変容こそが、私たちが果たすべき教育の責任です」と教頭の菅久徳氏。
そこには、教師が「教えなければならない」という強迫観念から解放され、子どもたちの成長に伴走する「教育者としての本来の喜び」を享受する姿がありました。
14年の伝統が証明「教師をケアする」リーダーシップ
改革を進めるには管理職の決断とそれを支える職員全体の理解が欠かせません。しかし、改革は、始めるより続けるほうが難しいとも言われています。
そもそも、教員不足の背景には、教室という密室で1人すべてを背負い込む「孤独な労働」という教員特有の環境があります。豊岡中の14年にわたる実践は、「孤独」を「連帯」へと変えるキーワードがありました。それが、教員同士が支え合う「同僚性」という言葉でした。
豊岡中では、すべての教員が授業を公開し、同僚がそれを観て語り合う文化が日常化しています。





















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