82歳父「うるさい! もう帰れ!」→追突事故を起こしても免許返納せず…行動経済学的に「運転をしない」環境をつくる方法

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行動経済学トレーニング
「親に車を運転させない」環境は、どのようにつくったらいいのでしょうか?(写真:YsPhoto/PIXTA)
高齢者の運転が社会問題化する中、親にどのように免許返納をさせようか悩んでいる子世代の人は少なくないのではないでしょうか。行動経済学を研究する竹林正樹氏は、ナッジ(認知バイアスの特性に沿って、人に合理的行動を促す設計)を利用した「親に車を運転させない」環境づくりを提案しています。
※本稿は『行動経済学トレーニング』(かんき出版)から一部抜粋・再構成したものです。

高齢の父親が、事故を起こしても運転をやめない…

東北地方の農村部で自営業を営むGさん(男性・54歳)の悩みは、近所の実家に住む父・H夫さん(82歳)が自動車の運転をやめないことです。

確かに田舎では車がないと不便です。でも、H夫さんの認知機能の低下が顕著で、GさんはH夫さんに免許返納を打診しましたが、「まだ大丈夫」と言われました。

そんなある日、ついにH夫さんが追突事故を起こしました。幸い、お互いにケガはありませんでしたが、H夫さんの車はボディにダメージを受けました。

GさんはH夫さんに「今回で懲りたでしょう。もうこの車は廃車にして、免許証を返納しよう」と言いました。H夫さんの車はレッカーで車屋さんに運ばれていきました。

しかし翌月、Gさんが実家に行ってみたら、修理を終えたH夫さんの車があり、40万円の請求書がテーブルの上に置かれていました。車両保険には入っていないので、自腹で払わなければいけません。

Gさんが「お父さん、何を考えているの? もう運転は無理でしょ。40万円もどうやって払うの?」と聞いたところ、H夫さんは「うるさい! もう帰れ!」と声を荒らげました。

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