地元の人たちにはお叱りを受けそうだが、とにかく私はこれまで、三軒茶屋と渋谷の間には国道246号しかないと思っていた。もちろんそんなわけない。駅前にはおちついた商店街がある。歩いているとお揃いのシャツを着た3人の男性が、金属製の火ばさみを片手に、道端に落ちているタバコの吸い殻など、ゴミ拾いをしている姿にでくわした。商店街にある店の有志が集まって美化活動を行っているという。
街のあれこれについて訊こうと呼び止めた。
「俺たちは新参者だから、街を語るのにはちょっと重荷なんだよね。でも、関戸さんなら生き字引だから訪ねてみるといいよ」
そんなふうに話してくれた。
都会の真ん中で「街の電気屋」が繁盛する謎
商店街の真ん中あたりにある「関戸電気商会(目黒区東山3-14-1)」は古くからこの街で営業する電気屋さんだ。従業員6人体制で、毎日大忙しなのだそうだ。
代表の関戸正義さんは今年で81歳になる。父親の代からここで電気屋を営んでおり、現在は息子さんが3代目を継いでいる。関戸さんは地域自治会の会長も務めている。池尻大橋についてこんなふうに話してくれた。
「昔はこの商店街にも、魚屋とか八百屋、豆腐屋とか、なんでもあったんですよ。でも今はそうした物販はすっかり減ってしまって、そのかわりレストランなんかは増えましたね。日用品の買い物は駅にある成城石井(池尻大橋店)とかライフ(目黒大橋店)ですね。昔は商店街でなんでも揃ったんだけど、そういう意味じゃちょっと不便になったかな」(関戸さん)
物販が減ってスーパーマーケットが増えるのは、ここに限ったことではなく全国の商店街で同じことが起こっている。ただ不思議なのは、関戸電気商会の繁盛ぶりだ。既述のとおり、従業員6人で日々の仕事を回しているという。街の電気屋としてはかなりの規模だ。私は本連載を通して、たくさんの商店街を歩いてきた。電気屋、本屋、時計屋などは、スーパーや量販店におされてどんどん姿を消している。




















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