「3時間以内にしたくなる」が5割…災害時の"トイレ行動"のリアル――必要な携帯トイレの数や事前にやっておく準備とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

携帯トイレの必要数の目安は、「1日当たりの排泄回数×最低3日分(できれば7日分)」です。1日の排泄回数は人によって異なります。まずはご自身の排泄回数を把握してみてください。

「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると、災害時における平均的な排泄の回数の目安は5回なので、それを参考にすると、1人当たり1週間に必要な量は35回分となります。

③「知っている」から「使ったことがある」状態へ

携帯トイレは、いまだに一般的な防災用品として十分に認知されているといえません。

まずは「備えるべきもの」であることを広く伝える啓発が必要です。そのうえで重要なのは、単に存在を知ることではなく、実際に使ったことがある状態にしておくことです。

災害時に初めて開封するのでは、戸惑いや誤使用によって衛生状態が悪くなる可能性もあります。地域の防災訓練、企業や病院、商業施設でのBCP訓練、そして学校教育の中に携帯トイレを使いこなすために「より良いものを選ぶ」「照明やごみ箱なども含めた環境を整備する」「使用方法を学ぶ」を体験するプログラムを組み込むことが不可欠です。

さらに見落としてはならないのが、「使用後の取り扱い」です。自治体への確認が必要になりますが、携帯トイレは排泄物を含む「ごみ」として、一定期間保管する必要があります。臭気対策や保管場所の確保、ごみの出し方まで理解しておかなければなりません。

そのためには、平時からごみ収集を担う部門や事業者との連携が重要です。災害時にどのように回収し、どこに搬送するのかを共有しておくことが、現場の混乱を防ぐことにつながります。

携帯トイレは「物」だけでなく、「運用」まで含めて備えることが求められています。なお、携帯トイレだけで対応しようとすると、ごみの量が多量になりますので、仮設トイレやマンホールトイレ等も想定しながら、複数の選択肢を確保することが効果的です。

トイレを後回しにしない社会へ

東日本大震災から15年が経ちました。しかし、災害のたびに「トイレ問題」は繰り返されています。

支援を待つだけでは、初動の混乱は防げません。必要なのは、1人ひとりが「自分の排泄を自分で守る」ために備えることです。携帯トイレを備え、使い方を知り、家族や地域で共有する。それは決して特別なことではありません。

命と尊厳を守るための、当たり前の準備です。次の災害で同じ後悔を繰り返さないために、今日からできる一歩を踏み出しましょう。

加藤 篤 日本トイレ研究所代表理事

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かとう あつし / Atsushi Kato

まちづくりのシンクタンクを経て、現在、特定非営利活動法人日本トイレ研究所代表理事。災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校教諭等を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業などを展開している。「災害時トイレ衛生管理講習会」を開催し、災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組む。排泄から健康を考える啓発活動「うんちweek」を展開。循環のみち下水道賞選定委員(国土交通省)、東京都防災会議専門委員(東京都)など。著書は『もしもトイレがなかったら』(少年写真新聞社)、『うんちはすごい』(株式会社イーストプレス)『トイレからはじめる防災ハンドブック 自宅でも避難所でも困らないための知識』(学芸出版社)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事