【株安・原油急騰】イラン攻撃で利上げは遠のく? "偽りのインフレ"に隠れた「実体経済の停滞」という難題

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日銀はしばしば春闘の結果を先行指標として挙げるが、春闘の対象となるのは労働力人口のわずか16%、それも主に大企業だ。24年と25年の春闘で見られた高い名目賃上げ率は、労働者全体には波及しなかった。

また、日銀は統計上のサンプル入れ替えを理由に上記データを疑問視し、同一サンプルを追跡する調査を好む傾向がある。しかし、その調査でさえ、賃上げ率は24年に一時3%に触れた後、減速している。1月はわずか2.1%だった。結局のところ、賃金データは日銀に「利上げを急ぐな」と告げているのだ。

安定する金利と為替が日銀を救う

昨年12月から1月にかけて、一部の識者は「高市ショック」を危惧した。10年物国債の一時的な急騰や、取引の薄い30年・40年債の跳ね上がりがあったからだ。だが、案の定、金利は落ち着きを取り戻した。

イラン攻撃前、金利は24-26年のトレンドラインを下回っており、現在はほぼそのライン上に位置している。このパターンが維持されるなら、日銀は投資家のパニックによって利上げを強制される事態を恐れる必要はない。

債券投資家が高市氏の圧倒的な勝利を好感したのは、彼女が国会で野党の票を得るために、必要以上の財政出動を積み増す必要がなくなったと考えたからだ。しかし、彼女が信頼を寄せる経済ブレーンがどれほど「財政の蛇口」を開きたがっているか、投資家は過小評価している可能性がある。

国内大手行のエコノミストからは、高市氏の財政拡張主義を懸念し、海外投資家がいずれ日本国債の購入を停止するのではないかという声も聞こえてくる。現在、外国人はJGBと短期証券の12%を保有しており、25年の純買い入れ額の半分強を占めている。1月までの6カ月間、海外投資家は一貫して買い越しを続けている。

金融メディアはわずかな金利変化を大々的に報じるが、それはデリバティブ業者には死活問題でも、実体経済に与える影響としてはあまりに小さい。

それは円相場も同様だ。イラン戦争前後でのドル円レートの変動は、昨年10月以来の取引レンジ内に収まっている。もし円が大幅に下落していれば、日銀は早期利上げへの圧力を受けただろうが、今のところその面での懸念は後退している。

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