「イランの次はわれわれだ」ロシアでプーチン批判が表面化/対トランプ協調路線に保守派から異論相次ぐ

✎ 1〜 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また今回のドゥーギン発言には、トランプへの警戒論とは別の重要な意味合いもある。

ウクライナ侵攻が5年目に入ったにもかかわらず、依然として戦勝の見通しも示せず、さらにイランも守れないプーチン政権に対して、政権周辺から、不満が公然と出始めたことだ。つまり、表向きのトランプ批判は、事実上プーチン政権への苛立ちの裏返しの表明でもあるのだ。

プーチンへの事実上の異議申し立ては、ほかにも出た。形式的には野党ながら、事実上の与党である「公正ロシア・正義のために」党のセルゲイ・ミロノフ党首による最近の政府批判である。

ロシア政府は国民に広く使われている民間通信アプリ「テレグラム」の通信速度を大幅に遅くさせる計画だ。政権批判の拡散を抑え込むため、テレグラム利用者を、政府が新たに開発した官製の通信アプリに誘導することを狙っている。

「ロシア政府は何をしているのか。馬鹿者が」

しかし、テレグラムはウクライナでの軍事作戦においてもロシア軍内部で広く使われている。通信速度が遅くなれば、部隊内の連絡にも悪影響が出る。このためミロノフ党首は「一体、政府は何をしているのか。馬鹿者が」と語気鋭くこき下ろしたのである。

このミロノフ発言は、政府の計画について「初めて政権周辺から公然と真っ向からの批判が出た」と言われている。

つまり、これまでの絶対的権力者としてのプーチンの権威が、トランプ批判と表裏一体となった、保守派などからの政権への不満噴出によって、侵食され始めたと言える。

今後イラン情勢がトランプの望む方向で動くことが一層明確になれば、プーチン批判がさらに広がるのは確実だ。イラク情勢がプーチンに与える影響から目を離せない。

吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

よしだ しげゆき / Shigeyuki Yoshida

1953年、東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。1986年から1年間、サンクトペテルブルク大学に留学。1988~92年まで共同通信モスクワ支局。その後ワシントン支局を経て、1998年から2002年までモスクワ支局長。外信部長、共同通信常務理事などを経て現職。最初のモスクワ勤務でソ連崩壊に立ち会う。ワシントンでは米朝の核交渉を取材。2回目のモスクワではプーチン大統領誕生を取材。この間、「ソ連が計画経済制度を停止」「戦略核削減交渉(START)で米ソが基本合意」「ソ連が大統領制導入へ」「米が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの脱退方針をロシアに表明」などの国際的スクープを書いた。また、2024年7月9日付の東洋経済オンライン「金正恩がロシアに工兵部隊の派遣を約束した!」で、北朝鮮がウクライナ侵攻への派兵を約束したことを世界で最初に報じた。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事