無人化の流れに逆行? 日本橋高島屋が《エレベーター係》を残す理由…百貨店で唯一「手動式エレベーター」を現役で運行
「建物全体が重要文化財であるため、手動式のエレベーターも創建時のまま使用しています。一般的なエレベーターとは違い、手動式は操作が必要なため、案内係がいるのです。現在は目的のフロアに着くと、カゴが床と同じ位置に段差なく自動で止まる仕様ですが、かつてはそうでなかった。案内係が細かな操作をして、正しい位置に止めていました。匠の技ではないですが、腕の見せどころでもあったようです」(岸さん)
案内係の役割は、エレベーターの操作だけでない。扉の開閉の際に、来店客が挟まれてしまわないように注意を払い、安全を確保しているのだ。
実際にエレベーターの中で、案内係の諸我恵美璃(もろが・えみり)さんに実演いただいた。
扉が閉まる際、案内係は入り口上部にある鏡を注視し、人の駆け込みがないか確認している。同時に片腕を水平に伸ばして、来店客に注意喚起を促して安全の確保に努めている。
この光景に、かつてよく見かけた、通学路で児童たちの安全を見守る係の方のような温かさを感じた。
案内係はあらゆる人の「駆け込み寺」
案内係の教育を担当している宮城尚子(しょうこ)さんによると、現場で最優先すべきことは「安全」。そのため、扉が閉じる直前に来店客が駆け込んできた、子どもが扉に触っていたなど、ケガや事故につながりかねない「ヒヤリハット」の事例があれば、必ず案内係全員に共有し、注意喚起をしている。
慣れが油断につながらないよう、常に初心を忘れず、安全への意識や緊張感を維持しているのだ。
新人の案内係には、こんな体験もしてもらっているという。
「最初は操作方法を覚えるだけで頭がいっぱいで、緊張もあって、上に行こうとしているのに、下に行くレバーを操作してしまうこともあります。なので、新人のうちは必ず先輩が後ろについて、間違った操作をしそうになったら止めるようにしています。お客様がいないときは、あえて間違った操作をして、ヒヤリとする体験をしてもらうことも。そうすることで、『正しく操作しないといけない』と実感してくれるのです」(宮城さん)




















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