さらに、データの閲覧や更新を、そのSaaSからしかできないようにしてしまえば、顧客は自分のデータなのに自由に扱えなくなります。いわゆる「データのブラックボックス化」です。
このように「ブラックボックス化」を仕込み、自社製品群やエンジニアにロックインさせるという営業アプローチは、ソフトウェア業界で古くからある「王道的」な手法です。
ロックイン状態に陥った顧客はベンダー変更の選択肢を失うため、ベンダー側は安定した契約と強い価格交渉力を維持できるようになります。
このような状態であっても、SaaSベンダーが提供する機能やサービスに顧客が満足しているのであれば何ら問題はありません。
しかし同時に、このロックインは「諸刃の剣」でもあります。
「ロックイン」への強い警戒感:歴史は繰り返す?
今、特定のベンダーに依存しすぎる「(ベンダー)ロックイン」に対して、企業側はかつてないほど敏感になっています。
過去数十年、多くの企業のシステムは「ブラックボックス化」し、その結果、特定ベンダーに縛られ、高額な保守費用や不自由な運用を強いられてきました。
DXブームで巨額の投資を行った企業ほど、自社がベンダーロックイン状態にあることを(再)認識したという面もあります。
「もし再び同じ構造に取り込まれれば、過去の失敗を繰り返すことになる」という危機感が強くなってきているのは当然と言えます。
SaaSは、こうしたロックインから企業を解放するユニークなサービスが評価されてきたという一面もありました。
しかし今、SaaSベンダー自身がデータの囲い込みやロックインを強める(伝統的な)動きを見せているのは、自社のコモディティ化への強い危機感とも言えるでしょう。





















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