運べば運ぶほど赤字…出版物流を襲う「雑誌激減」の深刻。コンビニ配送撤退の裏で取次が白旗を上げるXデー
では、ライバルからコンビニ配送の業務を引き継ぐことができてトーハンが喜んでいるかと言えば、まったくそんなことはありません。トーハンはある意味、「大手の責任」に突き動かされる形で、火中の栗を拾ったのです。
トーハンと日販は、同じ輸送会社の同じトラックでたがいの荷物を運ぶ「共同配送」も実施しているのですが、ここからローソン、ファミリーマート向けの積み荷がまるまる抜けると、配送コストが何十億円も跳ね上がり、物流網が崩壊しかねないという試算があったそうです。つまりトーハンは、書籍・雑誌の配送をこれまで通り継続するために、採算が見込みにくい事業をあえて引き継いだ、というのが実態に近いと言えます。
雑誌には、コンビニでの販売比率が高いものがたくさんあります。日販がコンビニ配送から撤退して、ローソンとファミリーマートで雑誌が売られなくなったら、一部の出版社は大打撃を受けるでしょう。
トーハンがコンビニ配送を引き継いだのは、出版社の経営危機を防ぐためという面もあったはずで、これもまた「大手の責任」に背中を押された判断と言えます(ただしトーハンは、ローソン、ファミリーマートへの配送の「全店引き継ぎ」に同意したわけではありません。両コンビニの一部店舗では、2025年3月をもって、雑誌の販売は終了しています)。
トーハンと日販は共に、取次部門は赤字です。それでも、会社が成り立っているのは文具の扱い、不動産、海外部門などで稼いでいるからです。これは私の推測ですが、両社共に本心では「もう、物流はやめたい」と思っているのではないでしょうか。だって、運べば運ぶほど赤字で、儲からないんですから。
それでもなぜ撤退しないのかと言えば、取次業が両社の祖業であり、そこにアイデンティティがあるからかもしれませんし、あるいは身も蓋もない話をすれば、どちらも大手出版社が大株主ゆえ、「物流やめます」と言えないのかもしれません。
トラック新法で、出版物の配送運賃が約2倍に?
業界の“悪者”にされがちな大手取次が厳しい状況下、ぎりぎりのところで踏ん張ってくれているおかげで、出版の物流網はかろうじて維持されています。
そのようななか、2025年6月に成立したトラック新法が施行されれば、出版物の配送運賃は現状の約2倍になるとの試算もあります。これからも恒久的に赤字が見込まれるのであれば、トーハンや日販だって、いつかは白旗を上げるでしょう。そうした事態をどうすれば回避できるのかを、私たちは真剣に考えなければいけない段階に来ています(と言うか、もはや手遅れである可能性も大いにあります)。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら