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"笑える"東大入試!イギリス流ジョークを理解できるか問う、東大の味わい深い良問とは

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  • 青戸 一之 東大卒講師・ドラゴン桜noteマガジン編集長
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(日本語訳)
ギャビン・プレター=ピニーは、ひと休みすることにした。それは2003年の夏のことで、彼はロンドンでグラフィックデザインの仕事をするかたわら、過去10年間にわたって友人と一緒に『The Idler(ジ・アイドラー)』という雑誌を発行していた。
このタイトルからして、「怠け者のための文学」といった趣である。この雑誌は忙しさや出世主義に反対し、目的のないことの価値、すなわち想像力が静かに自由に働くままに任せることの価値を説いていた。
プレター=ピニーは、あらゆる冷やかしを受けることを予期していた。「『何もしないこと』を推奨する雑誌を作っていたら、自分の方が燃え尽きてしまったじゃないか」と。しかし、それは事実だった。雑誌を作り続けるのは骨の折れる仕事で、10年も経つと、しばらく立ち止まって無計画な生活を送り、新しい着想を得るための余地を作るのもいいように思えた。

どこがジョークになっているか、わかったでしょうか。この問題でキーワードになるのが、雑誌のタイトルに使われている“idle”(怠惰な)という単語です。まず下線部の訳から確認すると、「彼は『何もしないこと』を推奨する雑誌を作って燃え尽きた」ですね。『The Idler(ジ・アイドラー)』という雑誌名を訳すなら「怠け者」といった感じになるでしょうか。

そして、下線部(A)の前には“Pretor-Pinney anticipated all the jokes”(プレター=ピニーは、あらゆる冷やかしを受けることを予期していた)とあります。

ここと下線部が、詳しい説明を導くコロン(:)の記号でつながっているので、下線部の内容が“all the jokes”の例であることがわかります。したがって、解答例としては

彼が運営していた雑誌は、何もしないことを推奨するのが趣旨であったにもかかわらず、結果的に自分自身がその仕事のせいで疲れ切ってしまったということ。

のようになるでしょう。

この話はロンドンが舞台なので、いかにもイギリス人好みのユーモアというか、皮肉が利いている描写になっていますね。ジョークは文脈や言外の意味をきちんと把握できていないと面白みが理解できないので、高度な読解力が試された問題でした。

英語は「解くもの」ではなく「味わうもの」

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このように東大の英語では、笑いの要素や余白を忍ばせたりと、問題の中にあえてユーモアを織り込むことが珍しくありません。そこには英語を「解くもの」ではなく、「味わうもの」として捉えてほしいという姿勢がにじんでいます。

もし英語の勉強を続けていてモチベーションが下がったり退屈に感じたりしたら、東大の「笑える」問題が語学の楽しさを思い出させてくれるかもしれません。堅苦しくて難しいというイメージも変わるはずなので、興味が湧いた方はこの機会にぜひチャレンジしてみてください。

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