だが、現実はそう簡単ではない。
唯一の成功例と筆者が考えるのが、新型コロナウイルスワクチンの大規模接種だ。当時はスピード感を持って接種を進める必要があったため、多くの潜在看護師が一時的に仕事復帰した。
これがうまくいったのは、国の補助金を活用して病院やクリニックでの平均的な時給より高額の時給(2500~4000円)を設定し、収入を「130万円の壁」の対象外とする特例措置をとったからで、また単発、短期間での仕事という要因も大きい。
潜在看護師が復帰しない理由
潜在看護師が復帰しにくい背景にあるのは、ブランク期間に進んだ医療技術についていけるのかといった不安だ。
技術を再習得するための支援体制や職場の理解といったものが不可欠で、都道府県看護協会は、復帰を考えている潜在看護師を対象にした復職支援研修を実施している。
しかし、一定の効果は表れているものの、看護師不足を解消するまでには至っていない。
データは少し古いが、厚生労働省の看護職員就業状況等実態調査結果によると、離職期間が短いほど再就職率は高く、再就職まで1年未満の場合は約50%が復職しているが、3年以上になると3~5%と非常に低い。
また、潜在看護師のうち、約4割が看護師としての復帰を望んでいないということも判明した。
これは視点を変えると、再就職しなかった人たちはその要因が労働環境にあり、過労やハラスメント、精神的疲弊などのネガティブな経験をし、「もう看護師として働きたくない」と思っているのではないか。
そうだとしたら、今、看護現場で働いている看護師が離職しないためにはどうしたらいいか。働き続けたいと思えるような環境の整備が求められている。
