看護師不足の問題はすでに多くの医療機関で起こっているが、とくに地方はより深刻で、これを理由に病棟閉鎖や診療規模の縮小など、病院経営に直結する問題となっている。
コロナ禍での過酷な業務
看護師の離職も大きな影響を与えたのは、2019年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大だろう。
当時のニュースなどでは、防護服を装着し、感染リスクに曝されながら働く看護師の様子が何度となく報じられたが、実際、恐怖と不安、次々と亡くなる患者を目の当たりにしたことによる喪失感などによる身体的・精神的ストレスから、燃え尽き症候群に陥った看護師が少なくない。
実際、2021~2022年度の看護師の離職率を見ると、新卒・既卒ともに高い水準となっており、「新型コロナウイルスの影響が示唆される」と日本看護協会は指摘している。
関東地方の総合病院に勤務する子育て中の看護師Bさん(40代)は、コロナ禍の最前線で働いた1人だ。「感染を恐れる保育園からは『子どもの送迎を遠慮するように』と言われ、家族を守るために自宅に帰らない日もありました」と振り返る。
緊急事態宣言が解除され、社会が日常を取り戻し始めてからも、病院では変わらず救急車で搬送されてくる新型コロナ患者と向き合い、外出や外食を控える日々が続いた。
「社会とのギャップに無力感を抱くこともありました」とBさん。
当時、国内外問わず「医療従事者に感謝を」といくつかのキャンペーンが繰り広げられたが、現場からは「感謝されるだけでは生活できない」という声も聞かれた。
こうした看護師不足解消の切り札として期待されているのが、看護師免許を保有しながら何らかの理由で看護師として働いていない「潜在看護師」の復帰だ。厚生労働省の推計では約70万人いるとされる。
こうした潜在看護師が現場に戻ってくれば、看護師不足を解決できる一助となる。
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【潜在看護師が復帰しにくい理由】
