「子育て中の看護師が急に休みを取らなければならないとき、必ず看護師長から『休みのところ悪いけれど、出勤してくれないか』と言われる。希望休として申請しているときでもそう。子育て中の人は優遇されていて、私はいつもその尻ぬぐいをしている」
Aさんは独身。看護師長からの要望であれば従わざるをえないが、一方に負担がのしかかるような環境では、看護師同士の信頼関係は得にくい。
時短勤務などの制約がなく、夜勤も残業も急な出勤もこなせる看護師に集中する負担。入院患者がいる病棟勤務では夜勤がつきものだが、子育て中の看護師や、介護が必要な家族がいる看護師は、夜勤なしの勤務で働かざるをえないため、未婚や子どもがいない夫婦、子育てを終えた世代など、一部の看護師に夜勤負担がのしかかる。
「お互いさま精神」を持って働いていたとしても、不公平感などのストレスを感じるのは当然の流れだろう。
これは一方で、休みを取る側である子育て中の看護師の心理的負担にもなっている。
子どもが風邪やインフルエンザにかかれば、急な休みを取らざるをえない。数日後に出勤する日はお詫びの菓子折りを持っていく、という話も聞く。一般の企業では考えられないことだろうが、看護界ではこうしたことがまかり通っている。
当然のことながら、不平等感は人間関係に亀裂を生み、組織がゆがんでいくことにもつながりかねない。
働き方改革が進まない「3つの理由」
そもそも、看護師は足りているのだろうか。
わが国の看護師の就業人数は180万人。医師数は34万人なので、数だけみると多いし、現在も増えている。しかし、有効求人倍率を見ると看護師は約2倍(職業全体では1倍強)となっており、決して足りているわけではない。
加えて問題なのは、年々、60歳以上のベテラン看護師の割合が増加している点だ。彼・彼女らがリタイアする時期が来れば、一気に看護師が減る。そうなれば看護現場は混乱し、さらに現役世代の負荷が大きくなる。
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【診療報酬と人員配置の関係】
