産むなら援助なし「内密出産」救えない日本の実情――妊婦の相談・出産の援助、子の支援、養子縁組まで手厚いドイツとの差

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2000年ごろから一部の政治家たちが「性行為について教えると子どもが乱れる」「いつか自然に知るものだ」などと、時代に逆行して性教育を行うことに強く反対した。その結果、2002年の学習指導要領に「人の受精に至る過程」「妊娠の過程」は扱わないとする、通称「歯止め規定」が盛り込まれたためだ。

「この規定のせいで、日本では公教育のなかで性交渉において必要な知識――具体的な避妊法や性感染症予防法などがほとんど教えられていません。だから子どもはもちろん、大人になっても正確な知識を得られていないことが多いのです」(賀藤院長)

学校によっては、個々に産婦人科医や助産師に出張授業を依頼して詳しく教えているケースもあるが、「本来は学校や家庭によりバラつきが出ないよう、一律できちんと教えるべきこと」だと賀藤院長は話す。

セーフティネットは必要

予期せぬ妊娠、そしてなんらかの事情によって産んだ子どもを育てられなくなることは、いつの時代でも起こりうる。だからこそセーフティネットは必要だ。

賀藤院長は「現在の日本では、目の前の母子の命を救うために“赤ちゃんポスト”が必要です」としたうえで、こう話す。

「将来的には内密出産が法制化されたドイツのように安心して産める社会になること、何より性教育によって内密出産さえも少ない社会になること。これが理想です。繰り返しますが、赤ちゃんポストの必要がない社会になってほしいのです」(本記事は前編・後編の2回でお届けします。前編はこちら)。

<赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト>

■妊娠したかもSOS賛育会(賛育会)
予期せぬ妊娠に悩む人が匿名かつ無料で助産師・看護師等の資格を持つ女性相談員に電話で相談できる。受付日時は月・水・金の16〜21時(年末年始・祝日は休み)。
■ベビーバスケット(賛育会病院)
誰にも頼れない状況で自宅などで出産した母親が、24時間いつでも生後4週間までの赤ちゃんを匿名で預けることができる。赤ちゃんは病院で健康診断を受けたあと、児童相談所に保護される。
■内密出産(賛育会病院)
出産を内密にしたい母親が、病院の一部関係者のみに身元を明かして匿名で出産できる。医師や助産師、ソーシャルワーカーのチームが内密出産に該当するケースかどうか検討のうえで、ガイドラインに沿って運用している。

プロフィール

賀藤均(かとうひとし)
賛育会病院院長。1981年新潟大学医学部卒業後、東京大学医学部小児科学教室入局。トロント大学医科学研究所留学、東京大学医学部小児科講師などを経て、2008年国立成育医療研究センターに赴任し、2014年度~院長を務める。2022年に賛育会病院副院長を務め、2024年より現職。専門は小児循環器病学。
大江浩(おおえひろし)
「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」事務局長。関西学院大学文学部心理学科卒業後、神戸YMCA、横浜YMCA国際・地域事業本部長、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)事務局長、日本YMCA同盟法人事務局長、社会福祉法人興望館常務理事及び認定こども園園長を経て、現職。
大西 まお 編集者・ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおにし まお / Mao Onishi

出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、宋美玄 著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事