産むなら援助なし「内密出産」救えない日本の実情――妊婦の相談・出産の援助、子の支援、養子縁組まで手厚いドイツとの差

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「児童相談所に託された赤ちゃんは、里親委託や養子縁組へとつなげていきます。ドイツでは常に里親や養親の希望者が待機しているため、ほとんどの赤ちゃんは乳児院に入ることなく、新しい家庭へ迎えられるのです」(大江事務局長)

赤ちゃんの実親へ渡す手紙のサンプル(写真:賛育会提供)

このようにドイツでは妊娠葛藤相談所が多数設けられ、内密出産への支援に国が認めた業務であるという法的根拠が与えられたおかげで、さまざまな困難を抱えた母親と子どもにとって、医療機関での出産という安全が担保されることにつながった。

2024年7月には韓国でも、ドイツに倣って「危機的妊娠および保護出産支援と子どもの保護に関する特別法」により保護出産が法制化された。

「内密なら援助なし」の日本

ところが、日本はようやく内密出産が可能な民間施設が2カ所になったばかり、というレベルだ。当然ながら法制化には至っていない。

「そのため、通常の出産、母体保護法に基づく中期中絶(妊娠12週0日~21週6日まで)には50万円程度の公費(出産育児一時金)が出ますが、内密出産だと全額自己負担になります。当然払えない妊婦さんもいます。『内密で産むなら援助はない』、これはどう考えてもおかしいでしょう。法制化して自己負担をなくすべきです」と賀藤院長は指摘する。

内密出産を法制化したほうがいいと賀藤院長が考える理由はもう1つある。それは、子どもの“出自を知る権利”を守ることができるからだ。

「日本では現在、赤ちゃんポストや内密出産によってわが子を託した母親の情報は、当該の医療機関で保管することになっています。しかし、本来は子どもの権利を守るためにも、公的機関で保管したほうがいいということは間違いありません」

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