産むなら援助なし「内密出産」救えない日本の実情――妊婦の相談・出産の援助、子の支援、養子縁組まで手厚いドイツとの差
2007年には、このドイツのベビークラッペをモデルに、慈恵病院(熊本市)に日本初の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」が誕生した。
ただ、近年になってドイツでは、約100カ所あったベビークラッぺの利用が減少している。
2025年9月、ドイツ視察へと赴いた「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」の大江浩事務局長は次のように話す。
「2000年にドイツで初めてベビークラッぺを開設したハンブルグの団体によると、当初は年間8人の赤ちゃんの預け入れがあったそうです。これまでの25年間には、赤ちゃんの健康状態が思わしくなく、預け入れられたものの亡くなってしまうという悲痛な出来事もあったと聞きました。今では預け入れは年間1人程度に減っていて、ハンブルグでは赤ちゃんの遺棄事件はゼロになったそうです」
内密でも公費で安全に産める
ベビークラッペでは、自宅出産や孤立出産により母子が命の危険にさらされるリスクがあり、しかも、事件性のある事例も存在することなどから、ドイツでは2014年に内密出産が法制化された。
現在では、内密でも公費で安全に出産できるようになったため、ベビークラッペから内密出産へシフトしてきているのだ。内密出産が法的に保証されれば、母子ともにリスクを冒してまで医療機関以外でひっそりと産む必要はない。
「ドイツでは、1980年代初頭から予期せぬ妊娠に悩む女性が相談できる妊娠葛藤相談の体制整備が進められ、1992年には『妊娠葛藤法』として法制化されました。国で認められた妊娠葛藤相談所は全国に約1600カ所あり、誰にも頼れず孤立無援で出産せざるをえない女性たちの支援をしています」(大江事務局長)
特に人工妊娠中絶(原則妊娠12週まで)をする場合、その3日前までに妊娠葛藤相談所で相談し、証明書を受け取る必要がある。これはもちろん、胎児の命を救うための手立てとして、ほかの道がないかどうかを検討するためだが、女性の自己決定が尊重される。
この妊娠葛藤相談所の相談員は、専門の研修を受けた人が担うという。
また、カトリック系、プロテスタント系、フェミニスト系、公立系など、さまざまな背景に応じた相談所があるなど多様だ。住まいから遠く離れた相談所を選ぶことも可能で、対面だけでなくメールでも電話でも相談できるため、活用しやすいという。
「妊娠葛藤相談所では、妊娠全般や中絶の相談を受けるだけでなく、公費での内密出産の申請手続きのサポートを行っています。そのほか、予期せぬ妊娠を予防するために中高生への性教育を行っているところもあります」(大江事務局長)
大江事務局長らは、ベビークラッぺや内密出産で託された子どもたちのフォローアップを行っている、ドイツの児童相談所も訪ねた。





















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