北朝鮮・朝鮮労働党大会で党官僚の支配強化、軍人は抗体、世代交代も進展、金正恩総書記の権力固め進む(前編)

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予想外だったのは朴正天党軍政指導部長(党中央軍事委副委員長、党政治局員、党書記、元帥)の退場だ。党政治局常務委員であった李炳哲党軍需政策担当総顧問が高齢で一線を退く可能性が高かったので、第9回党大会で軍人として党政治局常務委員になるのではないかとみられていた。

軍人の地位後退、党官僚の統制強化

朴正天氏は、金正恩政権発足後に登用された軍人で、金正恩党総書記の信頼が厚いとみられてきた。

金正恩政権が実質スタートした2012年に砲兵司令官としてメディアに登場し、同年8月に中将に、翌13年に上将、19年に大将、軍総参謀長に就いた。20年には党政治局員、元帥の軍事称号を授与された。ラヂオプレスの集計では金正恩党総書記の動静報道で随行した回数で24年は38回でトップ、25年も22回で、趙甬元党組織指導部長(28回)、努光鉄国防相(23回)に続いて3位だった。

第9回党大会の執行部にも序列6位で入っていた。なぜ、中央委員からも外れ、事実上、退場したのか、理由は不明だ。

後述するが、党の中枢機関である党政治局常任委員会は金正恩党総書記、朴泰成首相、趙甬元氏、金才龍(キム・ジェリョン)党組織指導部長(推定)、李日煥党宣伝扇動部長(同)の5人で構成され、軍出身者は排除された。党政治局でも軍人の序列は低く、党組織指導部出身などの党官僚が上位を占めた。組織指導部を中心とする党官僚の統制強化により、朴正天氏が退場したのかもしれない。

今回の党大会の人事の特徴は組織指導部を中心とする党官僚の支配構造の強化であり、軍部は序列を比較的下位に押しとどめられている。

後編に続く)

平井 久志 共同通信客員論説委員

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ひらいひさし / Hisashi Hirai

1952年香川県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年定年退社。

著書に『ソウル打令――反日と嫌韓の谷間で』(徳間文庫、1998年)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか――金正日破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書、2010年)、『北朝鮮の指導体制と後継――金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫、2011年)、『朝鮮半島 危機から対話へ』(共著、岩波書店、2018年)、『激動の朝鮮半島を読みとく』(共著、慶應義塾大学出版会、2023年)など。

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