「営業なんて誰でもできる!?」 AI代替で仕事失った社員を「事務→営業へ」安易な配転が失敗する"致命的"理由 みずほ5000人削減から考える
ここで、最も懸念される事態について書いておきたい。
大量の未経験者が営業部になだれ込んできたとしよう。そうしたら、一体どうなるか。
まず、既存の営業社員のパフォーマンスが落ちる。未経験者の指導に時間を取られ、本来の営業活動に集中できなくなるからだ。営業課長や部長は、売上目標の達成と未経験者の育成という二重の負担を背負うことになる。
次に、チームの士気が下がる。「営業なんて誰でもできる」と思われているようで、プロ意識を持って働いてきた営業社員のプライドは傷つく。「なぜ自分たちが、他部門から来た人の面倒を見なければならないのか」という不満が生まれる。
さらに、顧客対応の質が低下する。営業経験のない人が顧客の前に立てば、クレームやトラブルが増える。それを既存の営業社員がフォローしなければならない。負担はさらに増す。
結果として、本来の営業のポテンシャルが大きく落ちる。売上が下がり、優秀な営業社員は「こんな環境ではやっていられない」と転職を考え始める。人材不足を解消するための配置転換が、かえって人材流出を招くという皮肉な結果になりかねない。
安易な配置転換は慎むべきだ
AIによる業務効率化は避けられない流れだ。事務職の仕事が減っていくのも事実だろう。
しかし、その受け皿として営業職を安易に選ぶのは危険だ。営業は「経験不問」で誰でもできる仕事ではない。減点主義の世界から加点主義の世界への転換は、本人にとっても組織にとっても大きな負担になる。
配置転換を行うのであれば、慎重に進めるべきだ。本人の適性を見極め、十分な研修期間を設け、受け入れ側の体制も整える。それでも全員がうまくいくわけではないことを、経営陣は理解しておく必要がある。
「解雇はしない」という姿勢は立派だ。しかし、安易な配置転換は、本人にとっても組織にとっても大きな副作用が出る。AIが奪った仕事の穴埋めを、営業部に押し付けるのはやめたほうがいい。
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