「営業なんて誰でもできる!?」 AI代替で仕事失った社員を「事務→営業へ」安易な配転が失敗する"致命的"理由 みずほ5000人削減から考える

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ここで、職種による思考の違いを説明しておきたい。

私は35歳まではシステムエンジニアをしていた。その後、営業コンサルタントに転身した。だから両者の違いがよく分かる。

事務職や技術職は「減点主義」の世界だ。お客様のニーズに沿った仕事をするのは「あたりまえ」。納期に遅れたり、ミスが見つかったら大きな失点になる。だからとても慎重になる。失敗は許されない。失敗の数だけマイナス評価される。

一方、営業は「加点主義」の世界だ。都合よく仕事がとれることなんてほとんどない。どんなにお客様のことを考えて提案しても、受注できなくて「あたりまえ」。だから営業にとって最も重要なことの一つがレジリエンスだ。“心が折れない”こと、多少のことでへこたれない精神力が求められる。

情報システム部門への配置転換も同じ

いわば「油」と「水」なのである。

減点主義の世界で長年働いてきた人が、いきなり加点主義の世界に放り込まれたらどうなるか。失敗を恐れて動けなくなる。断られるたびに落ち込む。「なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのか」と不満を募らせる。

配置転換とは、単に部署を変えることではない。思想と文化を根本から変えることなのだ。

営業だけではない。他の部門への配置転換も同様の問題を抱えている。

たとえば事務職をやっていた人が情報システム部門に配置転換されたとしよう。何ができるのか。システム設計や開発をしたことがない人は、ゼロから勉強しなければならない。プログラミング言語を覚え、データベースの仕組みを理解し、セキュリティの知識を身につける。それには何年もかかる。

経理の仕事も同じだ。簿記の知識もなく、決算業務の経験もない人が、いきなり経理部に配属されても戦力にはならない。

「リスキリング支援を行う」と企業は言う。しかし、40代、50代の社員が新しいスキルを一から習得するのは、口で言うほど簡単ではない。本人の負担も大きいし、受け入れる側の負担も大きい。

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